小学生が専用のコンピュータールームに駆け込む光景も今は昔。全国の小中学生に1人1台のパソコンなどを持たせる文部科学省の「GIGAスクール構想」で、デジタル端末の配備が完了しつつある。だが「毎日利用するのは1割強」との民間調査があるなど、現場での活用は道半ばだ。校舎や家庭でのネットワーク環境整備など課題は多い。

ほとんどの小中学生にはパソコンやタブレットなどのデジタル機器が配布されている(写真はイメージ:PIXTA)
ほとんどの小中学生にはパソコンやタブレットなどのデジタル機器が配布されている(写真はイメージ:PIXTA)

 川崎市某区の小学校では、今年から児童の毎朝の行動が大きく変わった。登校直後に自分のパソコンを起動して、教師が書き込んだ当日の予定をチェックするのだ。同校では2020年度中にGIGAスクール対応パソコンを児童全員に配布した。新型コロナの感染拡大に対する保護者の懸念を受け、登校せずとも各家庭でオンラインで授業を受けられるようにもした。

 「指示されなくても自ら考え、デジタル端末の活用方法を探る児童もいる」と川崎市教育委員会事務局、総合教育センターの新田瑞江指導主事は手応えを話す。同市では21年度から一斉に端末の活用を始め、既に中学校3年生と小学校6年生の約8割が毎日端末を活用している。今後はウェブ検索の規制など、利用範囲を設定できる権限を教育委員会から各学校に委譲していきたい考えだ。

 デジタル機器の活用は、自治体や教育委員会ごとに様々だ。ある学校では、生徒のスキルとモラルに応じて米アップルのiPadの「利用免許」を更新し、普通自動車免許のように「グリーン」→「ブルー」→「ゴールド」となるにつれて利用制限を解除する、というユニークな取り組みを始めた。ほぼ全員にパソコンやタブレットなどの端末が行き届いたからこそできる施策だろう。

 文科省は「GIGAスクール構想」を前倒しで進め、3月末までに公立小中学校の9割超で端末の配備が完了した。8月末に公表した、全国の公立小中学校合計約3万校を対象とした調査では、小学校では84.2%が「全学年で利活用を開始」と回答し、11.9%が「一部学年で利活用を開始」とした。

 しかし、文科省と児童らの認識には若干乖離(かいり)があるようだ。

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