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 9月9日、ヤフーは7月に開始した独自の信用スコアサービス「Yahoo!スコア」の仕様を変更すると発表した。同サービスは、「Yahoo! JAPAN ID」にひもづくサービスの利用データを使い、利用者の信用度などを機械的に算出するというもの。ヤフーは利用者の同意を得た場合に限り、外部企業にスコアを提供している。

 現状では利用者が「Yahoo!スコアの作成・利用」の設定を自らオフにしない限り、スコアは自動的に算出される仕様だ。Yahoo! JAPAN IDにどれだけの個人情報を登録しているかに加え、オークションサイトでの取引実績や宿泊・飲食店などの予約キャンセル率などの情報が算出の根拠となる。個人情報保護法に基づく手続きを経ない限り、利用者本人は自分のスコアを確認することはできない。

 ヤフーがサービス概要を6月に発表したところ、専門家を中心に批判が高まった。外部サービスへのスコア提供に関してはYahoo JAPAN IDを使ってログインする際に同意確認があるが、利用者がそれを見逃した場合、知らないうちに算出されたスコアが外部提供されてしまう危険性があるからだ。

 ヤフーはその後、有識者から成る「プライバシーに関するアドバイザリーボード」を設置。そこでの意見を受け、10月以降はYahoo!スコアの作成をデフォルトでオフの設定に変更すると決めた。算出済みだが外部企業に提供されていないスコアについては、10月1日の時点で消去するという。

「Yahoo!スコア」に関する設定は、Yahoo! JAPANトップから「登録情報」、「プライバシー・メール配信」、「Yahoo!スコアの作成・利用」の項目を選択すると確認できる。現時点では、デフォルトでYahoo!スコアが作成される設定になっている。
 

 仕様変更により、ヤフーはYahoo!スコアの利用拡大戦略を大きく見直さざるを得なくなったが、早期に問題が指摘されたことは不幸中の幸いともいえる。同社は10月1日に「Zホールディングス」に社名変更し、持ち株会社制に移行するのに合わせ、スマホ決済PayPayを含むグループ企業とのデータ連携を強化する方針を示しているからだ。PayPayはキャンペーンを次々と打ち出して認知度や利用者数を増やし、グループの広告・金融事業を加速させるための膨大な決済データを蓄積してきた。

 新体制への移行前にプライバシー面の問題点を見直せたことで、成長の基盤であるPayPayのブランド毀損までは避けられた。中国の「アリペイ」と「芝麻信用」の成功に倣い、日本国内でも各社が決済と信用スコアの組み合わせで新規事業創出を狙っているが、プライバシー保護に関する市場・社会の要求は同じではない。Yahoo!スコアの仕様変更の経緯は、日本国内でデータビジネスを確立するためには必要なステップだったともいえる。

   
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