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 総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外したことをめぐり、国の第三者機関「国地方係争処理委員会(係争委)」(委員長・富越和厚元東京高裁長官)は、判断を再検討するよう総務相に勧告することを決めた。同委が自治体に対する国の政策判断の見直しを求めるのは初めてだ。

 総務相は今後、勧告から30日以内に再検討の結果と理由を同市に伝えることになる。除外の判断が覆らない場合、同市は高裁に提訴できる。

 ふるさと納税の返礼品を巡っては今年6月、法律で、寄付額の3割以下の地場産品に限ると定められた。これに先立ち、総務省は昨年秋、ギフト券などで多額の寄付を集める自治体に見直しを求めた。泉佐野市は「閉店キャンペーン」を展開し、制度改正前の駆け込み需要の取り込みに走った。

泉佐野市のふるさと納税サイト(写真:アフロ)

 こうした振る舞いが総務省の態度を硬化させた。総務省は新制度の対象を選定するに当たり、「2018年11月から19年3月までの寄付募集について、他自治体に多大な影響を与えていない」との条件を設定。泉佐野市を含む4市町が制度の対象外となった。

 係争委では、この除外理由が妥当かどうかが最大の争点だったが、富越委員長は会見で、新制度がスタートした後に不適切な取り組みをしたかどうかで判断すべきだと強調。「泉佐野市の寄付集めの手法が是正を求めるべき状況にあったことは理解している」と述べつつも、「(新制度の根拠となる)改正地方税法の目的は、過去の行為を罰することではない」と指摘した。

 国地方係争処理委員会は、地方分権一括法に基づき、2000年4月に当時の総理府(現在の総務省)に設置された。地方自治体は、国の関与に不服がある場合に、審査を申し出ることができる。申し出から90日以内に、5人の委員が結論を出す。勧告が出れば、国は必要な措置を講じる義務がある。

 国と地方の関係を対等にすることを目指す改革の一環として導入された仕組みだが、これまでは十分に機能していたとは言い難い。訴える資格がないなどとして、そもそも申し出を審査の対象とせず、自治体を門前払いすることが多かった。

 それだけに今回、踏み込んだ決定を下したことに驚きが広がっている。地方関係者は「さすがに総務省のやり方が強引すぎたということだろう。泉佐野市の除外について、心情的には多くの自治体が支持しているが、法律にはのっとらないといけない」と話す。

 ただ、新制度がスタートする直前の今年4~5月の2カ月間に泉佐野市が集めた寄付額は、185億2150万円に上り、全国最多だった2018年度1年間の約4割にも相当する水準だ。通知に従った多くの自治体の間には不公平感も残る中、総務省も安易に矛を収めることはできない。両者の対立が収束するかは、依然として不透明だ。

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