全1250文字

 夏の終わりが近づく8月下旬、英国は怒号の嵐に見舞われた。

 ボリス・ジョンソン英首相は28日、英議会を9月9日の週から10月13日まで約1カ月間、閉会とする案を明らかにした。同日、エリザベス女王はその政府案を承認した。英議会は現在、夏休みの休会中だが、9月3日の再開直後に閉会となる。

 10月14日にエリザベス女王の施政方針演説で議会が開会した直後の17日と18日、ブレグジットを協議するEU首脳会議が開催される予定だ。ジョンソン首相は「審議の時間は多くある」と言うものの、議会開会から31日のEU離脱日まで2週間強しかなく、一定期間とはいえ、「議会の無力化」を図ろうとしているのは明らかだ。

 ジョンソン首相の決定に対して、英国の議会や世論は激しく反発した。「民主主義への侮辱と脅威だ」(労働党のコービン党首)、「憲法違反だ」(バーコウ下院議長)、「これは民主主義ではない」(スコットランド自治政府のスタージョン首相)など、ジョンソン首相を糾弾する声が出た。議会周辺では急きょ、抗議集会が開かれ、ジョンソン首相を激しく批判した。

主要7カ国首脳会議(G7サミット)でもジョンソン首相はブレグジットについて強気な発言を繰り返した(写真:ロイター/アフロ)

 今のところ、議会で審議する時間が足りないため、合意なき離脱の可能性が高まったという見方が大勢を占める。大和総研ロンドンリサーチセンターの菅野泰夫センター長が以前、指摘していたように、ジョンソン首相は一部でささやかれていたシナリオを実行に移そうとしている。