若者を中心とするお酒離れが指摘される中、ノンアルコール飲料市場の乱戦が激しくなっている。7月からお酢を使ってビールやハイボールの風味を再現したノンアル飲料をテスト販売してきたキユーピーは、このほど2021年にも本格販売に踏み切る方針を固めた。
キユーピーは、マヨネーズなどの調味料大手として知られるが、飲料のカテゴリーでは「新参者」に近い。流通サイドから飲料メーカーとしての認知度は低いこともあり、テスト販売はアマゾンとロハコというインターネット通販を利用して実施した。食品で蓄積してきた売り方のノウハウや、築き上げた販路をそのまま活用できるとは限らない。それでも参入する背景には、ノンアル市場の過熱ぶりがある。
ノンアル市場は消費者の健康志向を追い風に、18年は09年比で4倍に拡大した(サントリービール調べ)。メーカーにとっても利点のある商品だ。アルコールではないので酒税はかからないが、アルコールに近い値段で売れるため、利益率が高い。ビール市場が縮小する中、ビール各社はこぞってノンアル飲料を発売した。
19年の消費増税も市場の拡大を後押しした。アルコール飲料が増税の対象となる一方で、ノンアル飲料は軽減税率の対象として消費税率8%に据え置かれたことから需要が高まった。
さらにここにきて、市場は再び拡大している。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が長くなり、運動不足や食べ過ぎへの懸念から、ノンアル飲料が求められるようになったからだ。「2月から今月まで昨年比2割増で売れている」と大手スーパー、ライフコーポレーションの担当者は言う。

キユーピーが7月に発売したのは、3種類のアルコール風味のビネガードリンク。ビール風味の「山吹色ホップ」、ハイボール風味の「琥珀色モルト」、シャンパンロゼ風味の「桜色ベリー」。いずれも炭酸水で割って飲むことを想定している。容量は1本295mlで、価格は1200円(税別)。グラスで約10杯飲めるという。
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