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 大手総合商社5社の2021年3月期の連結最終利益の予想が出そろった。米中貿易摩擦による下落傾向に、新型コロナ禍のダメージが加わり、5社合計の最終利益は最高益が相次いだ19年3月期に比べて6割超も低い水準となった。

 「決算としては期待外れの数字」

 三菱商事の増一行CFO(最高財務責任者)は、8月13日に開いた電話会見でこう語った。20年4~6月期の連結最終利益は、前年同期比77.3%減の366億円と落ち込んだ。

 原因の1つは自動車製造・販売部門だ。約20%を出資する三菱自動車が、世界的な自動車需要の低迷で21年3月期に3600億円もの巨額赤字を計上する見込みで、そのあおりを受けた。

三菱商事は首位陥落、3位転落の恐れも

 三菱商事が同日発表した21年3月期の最終利益予想は2000億円。激しく首位を争ってきた伊藤忠商事の予想4000億円とは2倍の開きがあり、首位を譲り渡す見込みとなった(関連記事:三菱商事vs伊藤忠商事、総合商社「首位交代」は起きず)。

総合商社の業績は、新型コロナ禍で大きく落ち込んだ
●大手5社の最終利益の推移(21年3月期は各社予想)

 三菱商事は21年3月期における新型コロナ禍の利益の下押し額を3000億円と見積もった。内訳は自動車関連が1200億円、原料炭・LNG(天然ガス)が1200億円、その他が600億円だ。

 三菱自動車のほか、インドネシアなどアジアでの自動車需要の減退が響いた。景気低迷や人の移動の停滞で原油価格が新型コロナ流行前の3分の2の水準に落ち込み、鋼材の需要低迷で生産に必要な原料炭の価格も下がった。

 伊藤忠商事も自動車の販売不振や原油価格の低迷の影響は受けたが、食料やIT事業、中国関連事業が底堅く、20年4~6月期の最終利益は前年同期比28.9%減の1047億円と、「予想していた700億円を上回った」(鉢村剛CFO)。株式市場で懐疑的な声もあった4000億円の目標達成への期待が高まっている。