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 旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が不動産やホテルを手掛けるユニゾホールディングス(HD)に無断で仕掛けたTOB(株式公開買い付け)。ユニゾHDは8月6日に反対表明を出し、これで敵対的TOBになることが確定した。一方で、この日、新たな事実も明らかになった。米投資ファンドのエリオット・マネジメントがユニゾHD株を5%以上取得し、事実上の筆頭株主に浮上したのだ。ユニゾHDに突如現れたエリオットは、果たして敵か味方か。

ユニゾHDのホテルにHISは魅力を感じていたようだが……

 HISはTOBでユニゾHD株の保有比率を現在の5%弱から45%まで高める計画だ。ホテルへの集客などでシナジー効果が見込めるというのがHISの言い分。だがユニゾHDはこれまでHISからあった水面下の提携打診にもすべて首を縦に振っておらず、今回のTOBという強硬策に対しても「売られたケンカを買う」(株式市場関係者)形になった。

 ここまではある意味想定されたこと。そこに予期せぬ事態が起こった。エリオットの登場だ。エリオットは8月6日に大量保有報告書を出し、ユニゾHD株を5.51%保有していることを明らかにした。筆頭株主だったHISの保有比率が4.79%だったので、エリオットが抜いた格好だ。

 大量保有報告書から計算すると、エリオットのユニゾHD株取得価格は平均で1株3300円台。ここから分かるのは、エリオットはHISのTOBには応じない、ということだ。HISのTOB価格は1株3100円。応じたらエリオットは損をしてしまう。ではエリオットはユニゾHDの味方なのか。ことはそう簡単ではない。

 そもそも投資ファンドのエリオットとは何者か。一言でいうと「アクティビスト(物言う株主)」なのだが、アクティビストがうじゃうじゃいる米国ですら「最恐投資家」とささやかれるほどの猛者だ。

 その実績はそうそうたるもの。過去には韓国のサムスン電子に3兆円の株主還元を要求したり、米アルミ大手アルコニックの最高経営責任者(CEO)を辞任に追い込んだりと、こわもてぶりをあげればきりがない。

 そんなエリオットの参戦は何を意味するのか。HISのTOBがどうなるかはさておき、ファンドであるエリオットの目的は、ユニゾHD株をいずれ高値で売却し利益を手にすること。その利回りも最低でも2ケタ、というのが常識だ。となるとエリオットは今後、ユニゾHD株が1株4000円に迫るように何かを画策するに違いない。

 最も安直に想定されるシナリオが、誰か買収者を連れてきて、プレミアム(上乗せ価格)をつけてユニゾHDを買収させる、というものだ。つまりユニゾHD側としては、HISを撃退することに仮に成功しても、次の買収者がまた必ず現れることを意味する。理論上はHISが再び次の買収者として名乗りをあげる、つまりエリオットとHISが組むというシナリオだってないわけではない。

 こう考えるとユニゾHDにとってエリオットの存在は決してありがたいとはいえないだろう。ユニゾHDの株価はエリオットの参戦を受けて7日に急騰、場中には年初来高値の3720円を付け、終値は前日比4.21%高の3710円で引けた。今後、ユニゾHDの株価はエリオットの出口戦略をにらんで推移することが予想される。

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