(写真:共同通信)
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 米財務省は5日、貿易で有利になるよう意図的に通貨安に誘導しているとして、中国を「為替操作国」に指定したと発表した。指定に伴う経済制裁の発動はないが、中国としてはメンツを潰された格好で、米中対立は一段と激しさを増しそうだ。

 米財務省には、貿易相手国の動向を継続的にチェックする仕組みがあり、半年ごとに「為替報告書」という形でまとめている。為替操作国への指定は、この報告書に基づいて判断されるもので、対米貿易で不当に優位に立とうとする国をけん制するのが狙いだ。

 具体的には、(1)対米貿易黒字が年200億ドル以上、(2)為替介入による外貨購入が1年で6カ月以上かつ国内総生産(GDP)の2%以上、(3)経常黒字がGDP比で2%以上――の3つの条件のうち、原則として2つを満たすと「監視対象」に、すべてを満たすと「為替操作国」に指定する。

 米国が為替操作国を指定するのは、クリントン政権時代の1994年に中国を指定して以来、25年ぶり。今年5月には中国のほか、日本やドイツなど9カ国を監視対象に指定していた。

 ムニューシン米財務長官は声明で、「ここ数日の間に、中国は自国通貨安に誘導する具体的な措置を実施した」と指摘。5日の人民元相場が一時1ドル=7元台と、ほぼ11年ぶりの安値となったことを踏まえて、中国政府の対応を批判した。

 トランプ大統領も「中国は人民元レートを、ほぼ過去最低の水準まで引き下げた。これは『為替操作』だ」、「中国は常に為替を操作して、米国からビジネスや工場を盗み、雇用を傷つけ、労働者の賃金を押し下げ、農産物の価格を毀損している。もう許さないぞ」などとツイートしていた。

 ただ、丸紅経済研究所の今村卓所長が「象徴的な措置で実効力は伴わない。いわば『抜かずの木刀』」と評するように、実は為替操作国への指定を根拠に経済制裁のような懲罰的な措置をとれる仕組みにはなっていない。米国は、為替操作をやめるよう国際通貨基金(IMF)も交えて、中国と協議する方針だ。

 三井物産戦略研究所で北米・中南米室長を務める山田良平氏は「トランプ氏の通商分野の公約のうち、唯一実施していなかったのが、中国の為替操作国への指定だった」と話し、国内支持者向けのメッセージの意味合いが強いとの見方を示す。ただ、今回の指定が中国のメンツを傷つけたことは確か。米中対立に拍車をかけたことは間違いないだろう。

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