米アルファベット傘下のグーグルが欧米で展開している、太陽光発電シミュレーションサービスが日本に上陸した。東京電力ホールディングスの100%子会社である東京電力ベンチャーズが8月5日、グーグルの技術を活用して、ソーラーパネルを設置する自宅の屋根の日当たり状況や経済性を見積もるサービスを始めた。太陽光発電の「固定価格買い取り制度(FIT)」が見直される中で、なぜ、新サービスなのか。
東京電力ベンチャーズは、「サンクル」の名称でサービスを提供する。ベースとなるのが、グーグルが米国やドイツ、フランス、英国で展開している太陽光発電シミュレーションサービス「プロジェクト・サンルーフ」。航空画像と機械学習を活用して、自宅の屋根の日当たり状況などを知らせてくれる。これに東京電力ベンチャーズが持つ各自治体での太陽光パネル導入に絡む補助金の情報などを加味して、太陽光パネルを設置してから20年間の発電の収支をシミュレーションする仕組みだ。東電ベンチャーズは初年度で1万戸での利用を目指すという。
日本の太陽光パネル市場には逆風が吹く。10年前に始まったFITが段階的に終了するからだ。太陽光で発電した電気を高く買い取ってくれる制度の終了で、今後は太陽光パネル市場が縮小するとの見方もあるが、東電ベンチャーズの赤塚新司社長はあくまでも強気。8月5日の記者会見では「経済合理性を一般の方に理解してもらえれば普及していく。世界的にも2050年には(太陽光発電のような)限界費用ゼロのエネルギーが普及する社会がやってくる」と強調した。
確かに、今は太陽光パネルを自宅の屋根に設置しようにも、どの程度の費用がかかるのか、どれくらいの発電が見込めるのか、など分からないことが多い。専門家をわざわざ自宅に呼ばなくても、パソコンで簡単にシミュレーションできるとなれば、太陽光パネルの設置意欲も高まるかもしれない。シミュレーションサービスが日本の屋根に変革をもたらすか。まずは認知度向上がカギとなるだろう。
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