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 「クオール薬局」などを運営する調剤薬局国内4位のクオールホールディングス(HD)は7月31日、医薬品製造に参入すると発表した。向精神薬などを手掛ける藤永製薬(東京・千代田)を8月8日付で買収する。クオールHDは買収を足掛かりに中期的に製薬事業で年300億円の売上高を目指す。事業領域を広げる背景にあるのは、激化する「クスリ小売り」の競争だ。

クオールHDはローソンと組んだ業態など766店舗を運営(2019年3月末時点)

 藤永製薬は1941年設立で、2018年9月期の売上高は17億円。抗てんかん薬などを製造・販売している。クオールHDは今後、同社の設備を使い、医薬品の受託製造を増やすほか、ほかの製薬企業の買収も引き続き検討する。中期計画では連結売上高目標を現在の約2倍の3000億円と掲げているが、そのうち300億円を製薬事業で見込む。

 処方せんに基づいて医療用医薬品を販売する調剤事業は、高齢化に伴い今後も需要は堅調とみられる。だが薬価改定や調剤報酬の低下は続く見込みで、収益性の低下は避けられない。このため、クオールHDは自社製造の医薬品販売の比率を上げることで利益構造の改善を目指す。中期で250億円に伸ばす営業利益のうち、製薬が34%を占める計画だ。

 「調剤併設のドラッグストアが猛威を振るっている」。中村敬社長が警戒する競争環境の激化も製薬参入の背中を押している。ドラッグストア最大手のツルハHDは2019年5月期の1年間で、調剤機能を併設した店舗を100店以上増やした。低価格の食品で集客する同3位のコスモス薬品は今年4月に開店した広尾店(東京・渋谷)で調剤併設店に再参入した。コスモスは、「タイミングがきたら一気に調剤機能を広げていく」(横山英昭社長)と豪語している。

 ドラッグストアによる調剤の拡大に対し、調剤薬局最大手のアインホールディングスは関東や関西の都市に化粧品の品ぞろえを充実させた「アインズ&トルペ」などのドラッグストア業態を増やし、反転攻勢をかけている。

 一方、調剤薬局業界ではすでに日本調剤がジェネリック薬の製造に参入している。クオールHDの中村社長は「我々は薬屋。ドラッグストアにはない専門性を生かして薬に特化していく」と話す。川上である製薬から川下であるドラッグストアまで巻き込んだ競争が激しくなる中、クオールHDは川上に打って出て生き残りを目指す。

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