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19年4~6月期連結決算について記者会見するトヨタ自動車の吉田守孝副社長(右)と近健太執行役員(写真:共同通信)

 トヨタ自動車は2日、2019年4~6月期の連結決算(米国会計基準)を発表した。本業のもうけを示す営業利益は前年同期比9%増の7419億円と、世界の新車販売をけん引する米中市場の全需が19年1~6月で前年同期比マイナスとなった中でもトヨタの堅調さは際立つ。しかし、先行きをみれば、「円高」「日米貿易交渉」「米中摩擦を受けた中国市場減速」と米トランプ大統領に起因する3つのリスクが顕在化しつつある。

 「為替など取り巻く環境変化は大変激しく大きい」。決算会見でトヨタの吉田守孝副社長は円高への懸念を口にした。トヨタが20年3月期の期初に想定していた為替レートは1ドル=110円。トヨタは1円の円高で営業利益が400億円押し下げられるとされる。2日の円相場はトランプ大統領がほぼすべての中国製品に関税をかけると発言したことを受け、1日で2円強の円高、1ドル=106円台まで円高が進行した。こうした外部要因もあって、今回のトヨタの決算では通期の想定レートを1ドル=106円、1ユーロ=121円とそれぞれ4円円高方向に見直した。これが期初想定に比べて1800億円の減益要因となり、20年3月期通期の営業利益見通しを前期比3%増の2兆5500億円から、3%減の2兆4000億円に下方修正した。

 参院選を終え、足元で本格化しだした日米貿易交渉の行方もトヨタにとっては気がかりだ。19年1~6月のトヨタの輸出台数は約107万4000台。約178万台の国内生産の6割が輸出だ。米国への輸出は約41万8000台で輸出全体の39%を占める。日本側は米国に対し自動車や自動車部品に対する関税撤廃を求める構えだが、米国内での雇用を重視するトランプ政権が強硬姿勢を強める可能性は否定できず、むしろ関税が上がる可能性すらぬぐえない。

 そして、もう一つ気になるのが中国市場の行方だ。トヨタの19年4~6月期決算では中国市場での販売は7%増えた(1~3月期実績)。「中国での事業展開はまだ十分ではない。今は他社に追いつく時期」(吉田副社長)。主力セダン「カムリ」の販売を伸ばしているほか、高級車ブランド「レクサス」でも、米国から中国に車を輸出している独BMWなどが関税増の影響を受ける一方、レクサスは相対的にお得感が出ており販売が好調だ。

 中国汽車工業協会によると中国の新車販売台数(中国国内生産分、工場出荷ベース、商用車・輸出含む)は1~6月で前年同期比12.4%減の1232万3000台だった。米中貿易摩擦の影響を受けた中国経済の減速が新車需要を冷え込ませている。ここまでは好調のトヨタといえど、全需の落ち込みが不安材料にならないわけではない。

 19年4~6月期の滑り出しは上々だったにも関わらず、為替見通しの変更で営業減益見通しに下方修正したのは手堅いトヨタならではの姿勢かもしれない。しかし、トランプ米大統領に起因する世界経済のリスクは着実に日本企業の業績に響いている。トヨタといえど、トランプリスクの風圧は確実に強まっている。

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