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(写真:shutterstock)

 7月31日、厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会が、最低賃金の引き上げ額の目安を決めた。

 引き上げ額は時給で26~28円。目安どおりに引き上げられれば、最高額の東京で時給1013円、最低額の鹿児島では787円、全国の加重平均では901円となる。10月に控える消費増税などを背景に、現在の時給方式となって以来最大の引き上げ幅となった。東京、神奈川では初めて1000円を超えた。

 政府は2016年以降、毎年3%程度(全国加重平均で25~26円程度)の引き上げを目標に掲げて達成してきた。19年度の経済財政運営の基本方針では、「より早期に全国平均で1000円を目指す」としている。

 最低賃金の引き上げによって大きな影響を受けるとみられる業界の1つがコンビニエンスストアだ。リクルートジョブズが発表した「2019年6月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査」によれば、三大都市圏(首都圏、東海、関西)のコンビニスタッフの平均時給は980円。同調査に含まれる職種の中ではCD・ビデオレンタルスタッフに次いで2番目に低い。

 コンビニの24時間営業問題も人件費の上昇による加盟店の苦境が発端だった。各チェーンのフランチャイズ本部は人件費上昇に危機感を抱き、加盟店支援策を講じてきた。セブン-イレブン・ジャパンは17年9月から、加盟店が売上総利益から本部に支払うロイヤルティー(チャージ)を1%減額した。一方、ファミリーマートは24時間営業の店舗に支払う奨励金を、従来の月10万円から3%増額。今後も最低賃金の上昇率をみて増やしていくという。

(参考記事)
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 しかし、こうした施策だけで最低賃金引き上げの影響を相殺するのは難しい。都内コンビニオーナーの話によれば、平均日販(1店舗1日当たりの売上高)で60万円程度の売り上げがある店で24時間営業をする場合、1日あたりおよそ60人時の人手が必要だ。時給が28円上がると、1カ月の人件費はおよそ5万円上昇することになる。

 一方、コンビニの売上総利益率を30%程度と仮定すると、1カ月の売上総利益は540万円。ロイヤルティーが1%減額されると、追加で5万4000円が加盟店側に残ることになる。つまり、1%のロイヤリティ減額で1年分の最低賃金引き上げの影響を相殺できる計算になる。毎年、最低賃金が引き上げられていることを考えると根本的な解決にはつながらない。

 前出のオーナーは「毎年1%ずつロイヤルティーを減額してもらわないと経営が成り立たない」と語る。しかし加盟店との利益配分はコンビニ各社のビジネスモデルの根幹にかかわるだけに、容易には変えられない。来年度以降、最低賃金引き上げのペースが大きく減速する見込みは薄い。早期に思い切った手が打てるかどうか、各社へのプレッシャーは高まっている。

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