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 東京電力ホールディングス(HD)が7月31日、福島第2原子力発電所の全4基の廃炉を正式に決めた。震災復興を目指す地元の強い要望に応えた形。東電は今後40年以上かけて廃炉していくことになるが、東電だけでは解決できない問題も横たわる。それでも東電は「いばらの道」を進むことを決断した。

廃炉が決まった福島県の東京電力福島第2原発(写真:共同通信)

 廃炉は東電HDが同日開いた取締役会で決定し、小早川智明社長が午後、福島県庁で内堀雅雄知事に面会して報告した。 

 福島第2は2011年の震災時に全4基が運転中に自動停止した。福島第1のように炉心溶融はなかったが、津波で3号機を除いて冷却装置が浸水して破損。現在は全基が冷温停止し、落ち着いている。

 今回の廃炉がいばらの道であるのは、まず、国内では例のない規模の原発の廃炉である点だ。福島第2は、首都圏の電力需要を支えてきたこともあり、1基あたりの出力が110万キロワットと大型の原発。さらに福島第1も含めると、東電が廃炉にする原発は計10基にのぼり、前代未聞の難事業に挑むこととなる。

 2点目は、福島第2だけで2800億円にのぼる廃炉費用だ。東電HDは18年度末時点で約2100億円を引き当ているが、国が廃炉の会計制度を見直したことを受けて損失を分散して計上していく方針だ。ただ、こうした費用は、廃炉期間が予想以上に長引いた場合はさらに上振れもする可能性も否定できない。

 さらに、東電HDだけで解決できそうにない問題がある。使用済み核燃料の最終処分地の選定だ。東電は廃炉完了までに核燃料を県外に搬出するとしているが、その搬出先が決まっていない。

 「廃炉先進国」ともいわれる米国では、処分地問題に行政が深く関与している。日本でも国の支援や自治体の理解が欠かせないだろう。

 今回の正式決定には、昨年6月に小早川社長が廃炉検討を表明してから1年以上がかかった。昨年6月の時点で小早川社長は「地元の復興の妨げになる。これ以上(決定を)延ばすべきではない」と被災地への思いを口にしていたが、その後、社内からは、人材確保や費用の問題などから実現が難しいとの慎重論も出ていたようだ。

 「できるだけ工程の短縮に努める」とする東電だが、40年という長期にわたる事業は未知数な部分は多い。前代未聞の事業の成否には、国がどこまで支援できるかもカギになりそうだ。

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