(写真:PIXTA)
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 女性の就業者数が初めて3000万人を突破した。総務省が7月30日に公表した2019年6月の労働力調査によると、女性の就業者数は3003万人で、比較可能な1953年以降初めて3000万人を超えた。就業率も向上している。15~64歳の女性の就業率は71.3%で、5カ月連続で7割を超えた。女性の就業率は昨年8月に初めて7割を超えたものの、その後は月によって7割を切るなど安定しなかった。4カ月連続で70%を超えるのは初めてで、女性の就業率が安定的に伸びてきたことを示している。

 10年前の09年6月と比べると、女性の就業率は11.3%上昇した。この10年間の推移を見ていくと、13~14年に潮目が変わったことが読み取れる。それまで60%前後で伸び悩んでいたのが、13年には62.3%、14年には64%と上昇し始めたのだ。その後現在に至るまで年間1ポイント以上ずつ上昇している。

 女性の就業率が伸び始めた時期は、安倍政権がアベノミクスの成長戦略として女性の活躍を推進する方針を打ち出した時期と重なる。待機児童の解消や職場復帰の支援などを政策として掲げ、女性が働く環境づくりを進めていった。19年6月の労働力調査でも、15~64歳の男性の労働力人口は16万人減少したものの、女性は42万人増加している。何も手を打っていなければ、少子高齢化に伴い労働力人口は減少していた可能性があるが、働く女性が増えたことで労働力人口の減少を食い止めている。

 7割超という女性の就業率は、欧米諸国に比べても遜色ない数値だ。独立行政法人労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2018」によると、16年時点での女性の就業率は、アメリカ64%、英国69.5%であり、女性の活躍が進んでいるとされる北欧諸国でもスウェーデン74.8%、デンマーク72%といったところだ。16年の数値のため単純比較はできないが、日本人女性の就業率は諸外国と比べても決して低いわけではない。

 だが、労働の「質」を見ると、違う景色が現れる。例えば、管理職に占める女性の割合。アメリカ43.8%、英国36.0%に対して、日本はわずか12.9%だ。

 役員に占める女性比率はさらに深刻だ。内閣府の「平成28年度女性リーダー育成に向けた諸外国の取組に関する調査研究」によると、アメリカ17.9%、英国23.2%(数値はいずれも15年時点)に対して、日本はわずか3.7%(出所は、内閣府「第4次男女共同参画基本計画における成果目標の動向」。数値は17年のもので、上場企業役員に占める女性比率)。ノルウェーやフランスなど女性役員比率が3割を超える国もある中、日本はその10分の1にとどまっている。働く女性は増えても、意思決定層に就く女性はまだ少ないのが現状だ。そもそも日本では、働く女性の半数以上がパートやアルバイトなどの非正規として働いており、正規職員の補助的な役割を担うことが多い。

 家庭と仕事の両立が難しいことも、課題として挙げられる。政府は20年度末までに待機児童をゼロとする目標を掲げるが、18年10月時点でまだ約4万7000人いる。子供を預ける先がなければ仕事に復帰することは難しく、日本では家庭か仕事かの二択を迫られることもまだ多い。女性の就業率は向上しているが、質の向上は道半ばだ。

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