日立製作所が7月29日に発表した2019年4~6月期の連結決算は本業のもうけを示す調整後営業利益が前年同期比で16%減った。中国景気の悪化を受けて半導体や化学品などの上場子会社の業績が悪化。ただ、20年3月期通期予想は据え置いた。自信の裏には成長戦略の中核であるIoT事業「ルマーダ」がある。

2019年4~6月期の決算を説明する日立製作所の西山光秋執行役専務CFO(最高財務責任者)
2019年4~6月期の決算を説明する日立製作所の西山光秋執行役専務CFO(最高財務責任者)

 「社会イノベーションのコアとなる5セクターは総じて好調、上場子会社は市況悪化の影響を受けた」。日立製作所の西山光秋執行役専務CFO(最高財務責任者)は、2019年4~6月期の連結決算をこう総括した。

 同社が7月29日に発表した2019年4~6月期の連結決算は、売上高が前年同期比で6%減、本業のもうけを示す調整後営業利益が16%減になった。事業売却益の計上で、純利益は14%増の1203億円と過去最高を記録したが、新たな中期経営計画のスタートはやや厳しいものとなった。

 営業減益の要因は、西山CFOが口にした上場子会社4社(日立ハイテクノロジーズ・日立建機・日立金属・日立化成)の苦戦だ。4社合計の調整後営業利益は497億円と前年同期比で34%減少。中国の景気低迷の影響を受け、「日立金属と日立化成で、半導体やスマートフォン、自動車関連が大きく減った」(西山CFO)という。

主力5セクターは「最高益」

 一方で、日立が主要5セクターと位置付ける「IT」「エネルギー」「インダストリー」「モビリティ」「ライフ」の業績は好調だ。5セクター合計の調整後営業利益は前年同期比3%増の746億円。「5セクター(の4~6月期)として過去最高を記録した」と西山CFOは自信を見せる。

 主力5セクターが好調な原動力の1つが、ITとインフラ技術を融合させた「社会イノベーション事業」だ。独自のIoT基盤「ルマーダ」を軸に、単純な「モノ売り」ではなく、顧客の抱えている課題を解決する「サービス売り」を志向。19年4~6月期における「ルマーダ」事業の売上高は2510億円と前年同期比で13%増えた。

 IoT事業では、顧客も気づいていない潜在的な課題を見つけ出し、解決策を提案できる人材が求められるが、日立では16年からIoT事業に適した人材育成のための特別研修を強化。3月末時点で4万人育成するなど事業転換への基盤作りを進めてきた。

 ルマーダ事業の好調は、そうした取り組みが実り始めた証左かもしれない。

 日立は20年3月期通期の見通しを据え置いた。中国景気の先行きは「不透明」と西山CFOが言う中で、据え置いた裏にはルマーダ事業の自信があるのかもしれない。

この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

ウェビナー開催 経産省のGX戦略キーマンが直言 水素、アンモニア、原発…日本企業の勝機

 日本企業にとって、脱炭素政策への対応が重要な経営課題になっています。上場企業であれば、グローバル投資家からの支持を得るために脱炭素に資するビジネスモデルの構築が求められています。サプライチェーン全体で仕組みを整える必要があり、企業規模の大小にかかわらず対応が急務です。
 日経ビジネスLIVEは9月8日(木)19:00~20:00に「経産省のGX戦略キーマンが直言 水素、アンモニア、原発…日本企業の勝機」と題してウェビナーを配信する予定です。登壇するのは、経済産業省でエネルギー政策を長く担当した経験を持つ、製造産業局長の山下隆一氏。業界横断的な取り組みが必須のGXに向け、どんなエコシステムを目指すべきかについて解説します。ウェビナー後半では視聴者の皆様からの質問にお答えします。ぜひ議論にご参加ください。

■開催日:2022年9月8日(木)19:00~20:00(予定)
■テーマ:経産省のGX戦略キーマンが直言 水素、アンモニア、原発…日本企業の勝機
■講師:山下隆一・経済産業省製造産業局長
■モデレーター:日経ビジネス編集委員・安藤毅
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料(事前登録制、先着順)。
>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。