
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が5月の決算発表時、設立を表明した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の第2弾の設立が取締役会で決定した。運用規模は1080億ドル(約12兆円)。SVF1号ファンドの有力出資者だったサウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンドやアブダビ首長国のムバダラ開発公社は、現時点では出資者に含まれていないが、「オイルマネー」抜きでも1号ファンドに並ぶ規模の資金を集めることができたようだ。
もっとも、今回もソフトバンクグループは、1号ファンドの280億ドルを上回る380億ドル(約4兆円)を2号ファンドに投じる。SBGは、全体の約3分の1の資金を拠出するわけだ。昨年12月、ソフトバンクの株式上場で調達した約2.4兆円や、5月にヤフー株を手放すことで得た5000億円を充てたとみられる。
出資者には米アップルやマイクロソフト、英スタンダードチャータード銀行など、名だたる企業が名を連ねる。日本からはみずほ銀行や三井住友銀行、三菱UFJ銀行と、メガバンクすべてが出資。このほか、第一生命保険や大和証券グループ本社も出資する。
大和証券グループ本社の中田誠司社長は、出資に関し「弊社のビジネスモデルや収益に資すると判断して出資を決めた」とコメント。大和証券グループは7月にソニーと共同でベンチャー企業を支援するファンドを立ち上げることを表明するなど、さまざまな企業と協業し、事業ポートフォリオを拡大している。今回のビジョン・ファンドへの出資もこうした戦略の一環といえよう。SVFへの出資額については言及を避けたが「数億円規模ではない」。おそらく数十億円規模ではないかとみられる。
今回の出資に関し、孫正義社長じきじきのトップセールスはなかったことも明らかにした。今回の出資の件では直接会っていないという。
18年に発生したサウジのジャーナリスト殺害事件への関与が取り沙汰されたムハンマド皇太子が、孫正義社長と近い関係であることから、一部ではSVF2号ファンドへの出資を敬遠する動きが投資家の間に起きていたのも事実。立ち上げに向けての資金調達は苦労されると予想されていた。関係者の間では「孫さんがじきじきに声をかけるなど、動いているようだ」との噂もあった。今回、ひとまず目標としていた額を達成できて、孫氏はさぞかしほっとしていることだろう。
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