(写真:西村尚己/アフロ)
(写真:西村尚己/アフロ)

 10月の消費増税を約2カ月後に控え、大手外食チェーンが増税への対応方針を固め始めている。そんな中、業界内で大きく話題となったのが日本ケンタッキー・フライド・チキンの対応だ。

 同社は7月19日、オリジナルチキンの店内飲食・持ち帰りの税込み価格を統一すると発表した。同社の看板商品、オリジナルチキン1ピース当たりの現行価格は税込み250円だが、増税後もこれを据え置く。10月以降は店内飲食の場合は227円、持ち帰りの場合は同231円と本体価格に差をつけ、課税後の価格を統一させる。

 「同じものを買っているのに価格が違えば不公平感が募る。持ち帰り価格で購入したお客様が店内で食べたときの従業員対応などの負担増も避けたかった」と同社広報室はその理由を語る。オリジナルチキンの価格を一律とすることによる負担分は、他のサイドメニューやセットの価格を値上げするなどして調整する方針という。

 「春先までは本体価格を表示し、8%と10%で異なる税込み価格にする流れだった」という同社の「心変わり」に業界内では「本体価格表記になりつつある業界の流れとは異なる動き。驚きを感じている」との声が上がる。

 増税後の対応を巡っては各社で方針が分かれている。牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズホールディングスは日本KFCと同じく、持ち帰りと店内飲食の税込み価格をそろえる方針を示している。「券売機で精算する方式なので、1円単位の計算は難しい。顧客には分かりやすく、従業員の混乱も防ぐため」というのが、その理由だ。サイゼリヤは税込み価格を据え置き、店内飲食の価格は実質2%の値下げを予定しているという。

 一方で、「モスバーガー」を運営するモスフードサービスは4日、価格表示を現行の税込み表示から、本体価格表示に変更、持ち帰りと店内飲食の価格を分ける方針を明らかにしている。牛丼チェーン大手の吉野家ホールディングスも同様の方針を固めている。

 日本KFCは営業利益が前の期に比べ81.4%減の4億7700万円と低迷した18年3月期から一転、19年3月期は同22億600万円と急激に業績を回復させた。「500円ランチメニュー」や定番商品を組み合わせた「1000円パック」などお得感をアピールするメニューが業績をけん引した。4月以降も既存店売上高は15~24%増で推移しており順調だ。「きりのいい価格の商品も税率で価格が別では……。顧客にとって分かりやすい表記が一番だ」(同社)としており、好調を維持するための決定でもあるようだ。

 日本KFCの対応について大手外食チェーン業界内では、「店内飲食と価格が同じでは持ち帰り客の不満が逆にたまるのではないだろうか」との意見が上がる一方で、「同一価格のインパクトは大きい。企業イメージも上がり、店内飲食の客も増えるのでは」と、見方は分かれている。KFCの決断が吉と出るか凶と出るか、業界がその趨勢に注目している。

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