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 テニスの4大大会の1つであるウィンブルドン選手権は、今年も盛り上がった。特に男子シングルスは、世界ランキング上位3位までがベスト4に残り、好カードが目白押しだった。決勝戦は英国のロイヤルファミリーや米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)など世界のセレブが観戦。5時間に迫る大接戦で、大会史に残るゲームとなった。

 世界中で9億人以上がウィンブルドンに関心があると言われ、その数は年々増える傾向にある。注目度が高まったためか、決勝で敗れた後のロジャー・フェデラー選手のインタビューの再生回数は160万回を超えている。

 大会の波及力を高めているのが、大会の技術サポートを担う米IBMのアプリだ。近年はプロスポーツの試合について、特別に契約しなければ生中継を見られなくなりつつあるが、IBMのアプリでは、試合終了後の2分後にはハイライトを見られる。19年のウィンブルドン選手権でアプリが使われた回数は世界で5980万回で、前年に比べ28%増え、過去最高を更新した。ウィンブルドンの交流サイトを通じても、自動編集したハイライト動画を提供している。

IBMのAIが自動編集したハイライト動画。時間が経過したため、ナレーションなどを加えているようだ

 日本人の交流サイトを見ていても、テニスファンの多くがワトソンが編集するハイライト動画を頻繁にシェアしていた。ある日本人は「ツイッターやフェイスブックで試合の興奮を映像付きですぐに伝えられるので重宝していた」と語る。

 華やかなウィンブルドンのセンターコートの近くの一角に、パソコンなどのモニターがずらりと並ぶ一角がある。IBMのデータセンターだ。10人ほどのスタッフが黙々とモニターに向かっている。

ウィンブルドン選手権のセンターコートの近くにある米IBMのデータセンター。同社のウィンブルドン担当責任者のサム・セドン氏

 この人数で、試合終了の2分後に大量のハイライト動画を作るのは難しい。これができるのは、IBMのAI(人工知能)「ワトソン」を使っているからだ。IBMでウィンブルドンの担当責任者であるサム・セドン氏は「全てのハイライトをAIで作り上げた」と胸を張る。