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 千葉県市川市が市長と副市長の公用車として米テスラの電気自動車を導入することに「高額だ」と批判が殺到している。同市の村越祐民市長は17日に市内で会見し、導入を予定していた2台のうち契約の済んでいない1台の導入を見送り、契約済みの1台についてはリース代の一部を給与で支払うと表明した。環境意識の高まりや行政に対する厳しい視線のなかで、公用車も変化を迫られている。

 市川市が公用車に導入した多目的スポーツ車(SUV)「モデルX」は車両価格が約1100万円。市は今月から8年間のリース契約を結んでおり、リース代は月額約14万5000円になる。以前から使用しているトヨタ「クラウン」は月額約6万円のため、差額は8万5000円。村越市長はこの差額分を負担することを決めた。

 ただし、モデルXはEVのため維持費は安くなる。市川市企画部企画課によれば、公用車の年間走行距離は実績平均で7000km程度。クラウンの燃費を1リッター当たり10km、ガソリン価格が150円だとすると燃料代は年間10万円強になる。一方で、市はモデルXの電気代を年額2万5000円程度と試算している。年間8万円弱分はコストカットになる。

 市がモデルXの導入を決めたのは、率先して環境対策に取り組む姿勢を打ち出すためだ。市は地球温暖化対策実行計画の中で、二酸化炭素排出量を2020年度までに13年度比で15%削減する目標を掲げている。「EVを導入することで、市のトップが自ら実行していることを示す広告塔の役割も担っていた」(市川市企画部企画課)。モデルXの価格面だけが批判的にクローズアップされたことで、市が本来打ち出そうとしていた環境政策のアピールという役割が完全に消えてしまった格好だ。

 時代とともに公用車は様変わりしている。

 価格面などで、首長などの公用車はたびたび批判の的になってきた。2010年には岩手県の達増拓也知事(当時)が1407万円で購入したレクサス「LSハイブリッド」が「高額だ」と批判された。市は「安全性を重視した」と説明したが理解は得られなかった。2017年には、金子恵美衆院議員(当時)が公用車で息子を保育所に送迎したとして批判を受けた。厳しい目が公用車に向けられるなかで、市民感覚とかけ離れた取り扱いが常に批判の対象になっている。

 市川市の場合は「高額だ」という点で批判に晒されてしまったものの、環境面を考慮して自治体では公用車にエコカーを採用する例が相次いでいる。

 例えば神奈川県平塚市は日産自動車のEV「リーフ」を導入し、市長公用車や学校での環境教育に活用する。同厚木市は三菱自動車のEV「アイミーブ」や日産「リーフ」など複数のEVを職員用の公用車として採用している。そもそもガソリン車からハイブリッド車への変更という流れは2000年代から始まっており、多くの自治体がトヨタ自動車の「プリウス」などに変更している。