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アスクルの岩田彰一郎社長はヤフーの社長退陣要求などについて疑問を呈した  (写真=佐藤久)

 アスクルと筆頭株主であるヤフーが、アスクルのもつ個人向けインターネット通販事業「LOHACO(ロハコ)」を巡って対立している。アスクルが18日に都内で開いた記者会見で、岩田彰一郎社長は「支配株主に成長事業が乗っ取られようとしている」と危機感を示した。ネット通販事業のテコ入れを急ぐヤフーはロハコ事業の譲渡を求めていたが、アスクルが拒否。結果、今年6月にヤフーが岩田社長の退任を要求し、8月2日に開催される株主総会でも岩田社長の再任反対を表明する。アスクルは一連のヤフーの動きについて「あまりにも唐突で不可解」(アスクル)とし、ヤフーと資本業務提携の解消を求めている。

 アスクルは企業向けのコピー用紙や文房具などオフィス用品の販売で成長してきた。個人向けインターネット通販の「ポチッとアスクル」「アスマル」にチャレンジしたが、いずれも利用者が思うように届かず撤退に追い込まれた。再チャレンジとなったのが12年に開始したロハコ事業だったが、これも順風満帆とはいかなかった。

 法人向けのオフィス用品の販売は企業側のニーズを把握しやすく、平日に宅配すれば必ず受け取ってもらえる。そのためアスクルの自社配送比率は7割に達し、物流の効率化も進めやすい。

 一方、個人向けのロハコは商品の種類も多く、顧客がいつ荷物を受け取るのか時間帯もばらばらだ。ロハコの自社配送は全体の約4割にとどまり、残りは外部の配送業者に頼る必要があった。17年にはロハコ事業の物流拠点が大規模な火災にみまわれる不運もあったうえ、ヤマト運輸の配送料の値上げもあって採算が悪化。6期連続で赤字が続いていた。

 アマゾンジャパン(東京・目黒)や楽天など巨大なライバルがあるなかで、アスクルはロハコ事業では規模の追求に距離を置いてきた。代わりに、花王や味の素など約130社と組んだデータを使った商品開発や、1時間単位で商品を受け取れるといったきめ細かな配送サービスなどで違いを出そうとしていた。

 こうしたロハコ事業の集客増につなげていたのは間違いなくヤフーだ。ヤフーのトップページからロハコにアクセスできるようにし、ヤフーの決済サービスも利用できる。ただ、楽天やアマゾンを追うヤフーが規模を追わないロハコ事業に物足りなさを感じたことは否めないだろう。

 アスクルの出資母体である文房具販売のプラスも岩田社長の再任に反対し、ヤフーに賛同すると表明した。四面楚歌のアスクルにとって、打つ手は限られている。17年に発生した工場の火災にめどがつき、これからロハコ事業を軌道にのせようとしていた今期。それだけに今回のヤフーとアスクルの対立が今後の事業のありようをより一層、不透明なものとしている。

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