(写真:西村尚己/アフロ)
(写真:西村尚己/アフロ)

 みずほフィナンシャルグループ(FG)は、傘下銀行の新システムへの移行作業のため7月13日午前0時~16日午前8時、ATM(現金自動預払機)やインターネットでの取引を全面的に停止する。移行作業は昨年6月から始めており、9回目となる今回が最後となる見通しだ。作業をするたびにATMが使えなくなり、みずほユーザーから不満が噴出していたが、順調に進めば、システム統合がようやく完了する。とはいえ、みずほFGには過去2回大規模なシステム障害を起こした「古傷」があり、関係者は最後に最悪の事態が起きないかの一抹の不安を募らせている。

 みずほの大規模システム障害は2002年4月1日、第一勧業、日本興業、富士の旧3行が合併し、みずほ銀とみずほコーポレート(CB)銀(13年にみずほ銀と合併)の2行体制に再編して営業を開始した合併初日に、二重引き落としなどのシステム障害が発生した。さらに11年3月の東日本大震災直後、振り込みやATMの利用ができなくなるシステム障害を起こした。いずれの事案も金融庁から業務改善命令を受けた。

 システム障害によって取引ができなくなり、顧客からお金を預かる銀行の社会インフラとしての役割を果たせなかった「みずほ障害ショック」への反省から、みずほFGは11年5月、傘下銀行のシステムを新システムへ統合する方針を打ち出した。4000億円台半ばの巨大なコストをかけて、昨年6月から移行作業を段階的に進めてきた。

 13~16日の作業は、みずほ信託銀のシステム(名称・BEST)を、新システム(同MINORI)へ移行する。対象店舗は46店だ。既にこれまでの計8回の作業で、旧みずほ銀のシステム(同STEPS)、旧みずほCB銀のシステム(同C-Base)のMINORIへの移行を済ませており、障害は起きていないという。

 最後の移行作業を前に、みずほの広報担当者は「システム移行に伴う全面休止はこれまでほぼ1カ月おきに実施していたが、今回は取引が増える年度末の時期を避けたため、5カ月の間が空いた。そのため『もう新システム移行は完了した』と考える人もいるので、どうなるか」と心配する。システム障害の発生を想定し、窓口業務以外の担当者にもトラブルが起きた際に顧客に対応できるよう研修も実施している。

 一方、新システムについて業界からは「情報技術(IT)が急速に発達し、ネットでの取引が活発化する中、銀行業も従来の銀行の枠組みを越えたサービスを展開しなくてはならない。そうした中、銀行業にかかわるシステムは4000億円規模の投資に見合うものなのだろうか」という冷ややかな声さえある。

 みずほFGは3月、システム関連で4600億円の減損処理を決断し、19年3月期に巨額損失として計上することにした。減損処理は、銀行業務を支える新システムが経営上の重荷になったことを示したうえ、既にシステム統合を終えていたほかのメガバンクからの「出遅れ感」が際立ってしまった。今後、巨大システムの維持コストもかかる。情報セキュリティ大学院大学の藤本正代教授は「システムで完成形というものはなく、IT化で世の中のスピードが速くなる中、事業を安全に行えるようにシステムはどんどん更新していかなくてはならない。そのための戦略やコストは今後必要になる」と指摘する。

 システム統合決定から約8年かけた新システムの全面稼働がいよいよ目前だが、それでも過去のシステム障害の残像も残っており、関係者に高揚感がないのが実情だ。

■修正履歴
掲載当初、「旧みずほ銀のシステム(同C―Base)、旧みずほCB銀のシステム(同STEPS)とあるのは、旧みずほ銀のシステム(同STEPS)、旧みずほCB銀のシステム(同C―Base)の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2019/7/11 19:08]

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