吉野家ホールディングスが7月9日に発表した2019年3~5月期の連結決算は、営業利益が10億4400万円となり、1億7800万円の赤字だった前年同期から黒字転換を果たした。牛丼の新サイズの「超特盛」が想定以上にヒットし、客単価の引き上げに成功した形だ。

 吉野家は3月、看板商品の牛丼で1991年に「特盛」を始めて以来28年ぶりに新しいサイズとなる超特盛と「小盛」を導入した。肉の量は超特盛が「大盛」の2倍、小盛は「並盛」の4分の3となる。

「超特盛」はコメの量が「大盛」と同じ、肉は2倍だ
「超特盛」はコメの量が「大盛」と同じ、肉は2倍だ

 超特盛は税込み価格で並盛より400円高い780円だが、発売後1カ月で100万食を達成した。吉野家の広報担当者は「創業120周年の目玉商品として投入したが、ここまでヒットすると思わなかった」と話す。

 さらに5月から提供を始めた「ライザップ牛サラダ」(税込み540円)も好調だという。食べ応えを求める若年層を狙った超特盛と、健康志向の中高年層や女性らを狙ったライザップ牛サラダや小盛を投入する「二兎を追う」戦略が奏功した。

 超特盛とライザップ牛サラダについては、顧客層の拡大に加え、客単価の向上にも寄与した。これまでの吉野家の課題は「牛丼の並盛しか頼まない客が多い」(いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員)ことにあった。定食やセットメニューをそろえる他の牛丼チェーンに比べ、メニューにバラエティーが乏しかった。

 超特盛には現場のオペレーションが変わらないという利点もある。メニューを増やせば新たな顧客を呼び込める可能性はあるが、一方でオペレーションが複雑になる。人手不足による人件費上昇が外食企業の大きな問題になる中で、さらに従業員を増やすのは簡単ではない。

 その打開策が、コメの量が大盛や特盛と同じで肉の量が大盛の2倍の超特盛だ。現場の従業員に大きな負担をかけずにメニューの幅を増やすことを実現。客単価もアップした。

 原材料費や人件費の高騰にいかに対応するかは、外食業界に共通の悩みだ。対応策として値上げをする企業も増えているが、単純な値上げは客離れを引き起こしかねない。鮫島氏は「客単価を上げることは大切だが、値上げはその一手段にすぎない」と話す。

 さらに10月には消費税率の10%への引き上げが控える。そんな中、超特盛で業績回復を果たした吉野家の手法には、他の企業が参考にできる部分もありそうだ。

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