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多くの人が繰り出す銀座・中央通り(写真:西村尚己/アフロ)

 日本を代表する商業地である銀座が店舗の増加を抑える方向に動き出している。近年では訪日外国人が数多く訪れようになっており、そのにぎわいは衰えていないように見える。これまでも銀座の商店主らは「銀座ブランド」を維持・向上させるために様々な課題に向き合ってきたが、銀座に今、何が起こっているのだろうか。

 7月8日、「銀座街づくり会議」の年1回の活動報告会が開かれた。銀座街づくり会議は代々銀座で商売を続けてきた地元店主などが中心となり、2004年に設立された街づくり組織で、これまで銀座の様々な課題に対して行政と共に取り組んできた。

 この報告会の中で、意見の1つとして出てきたのが「誘導用途」に関する要望だった。

 誘導用途とは、医療、福祉、商業など特定の都市機能を地域に誘致するための制度。たとえば、新たに建築物を造る際に商業施設を一定割合以上誘致すると高さ制限や容積率が緩和され、通常よりも大きい建物を建てることができるといったケースがある。

 銀座では現在、「商業用途の床面積を1/2以上、事業所用途の床面積を1/3以下」とすることが容積率緩和の条件となっている。商業施設をなるべく多くして、にぎわいを生み出すのが狙いだ。

 今回の報告会では、これを「商業用途1/3以上、事業所用途を1/2以下」に変更すべきだとの意見が出た。つまり商業を減らし、オフィスを増やしていきたいとの考えだ。

 商業集積地である銀座で、商業用途を減らす要望が出てくるのはなぜか。報告会で登壇した岡本圭祐・文明堂銀座店会長は「銀座においでになるお客様をがっかりさせたくない。床面積のために無理やり入れるような店はよろしくない」と話した。床面積の「1/2以上」を確保するために様々なテナントが入居し、「銀座らしさ」が失われていく懸念があるという。

 そもそも現在の誘導用途は1998年、「銀座ルール」と呼ばれる地区計画によって定められた。銀座ルールができた後、銀座ではビルの建て替えや大規模な商業施設の建設が進んだ。最近では、2016年に東急プラザ銀座と銀座プレイス、17年にギンザシックスといった大型商業施設が開業している。

 再開発が進んだこともあって銀座の地価は上昇している。国税庁が7月1日に発表した2019年の路線価では、銀座5丁目の文具店「鳩居堂(きゅうきょどう)」前が 1平方メートルあたり4560万円と3年連続で過去最高額を更新した。