小売り大手セブン&アイ・ホールディングスが7月1日に開始したスマホ決済サービス「7pay(セブンペイ)」の不正アクセス被害の余波が続いている。
セブン&アイ傘下のセブン・ペイは4日に開いた会見で、入金手続きの停止を発表。その後、同日の午後6時すぎに新規登録の一時停止も発表した。また、警視庁新宿署は4日、他人の7payを不正に使用し、セブンイレブン店舗から約20万円相当の商品をだまし取ろうとしたとして、中国籍の男2人を詐欺未遂容疑で逮捕した。
不正アクセスの方法については現在調査中だが、携帯電話のSMS(ショートメッセージ)を利用した2段階認証がなかったことなど、セキュリティー上の脆弱性が指摘されている。
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セブン&アイが独自のスマホ決済サービスを導入すると正式発表したのは2018年4月の決算説明会だった。「19年春頃に決済アプリスタート」との計画を打ち出した。同年6月にはANAホールディングスやNTTドコモなど10社とともに、データ活用に関する研究会「セブン&アイ・データラボ」を発足し、傘下にセブン・ペイを設立している。以降、スマホ決済サービスによって得られる顧客の購買データを事業に生かし、会社や業界を超えて共有するための体制を整えてきた。
その後の18年12月、ファミリーマートが独自のスマホ決済「FamiPay(ファミペイ)」を19年7月に開始すると発表した。その時点ではセブン&アイのスマホ決済の具体的な開始時期は発表されていなかったが、19年4月の決算説明会で「7pay」として19年7月に始めると発表。結果的に、7payとFamiPayが7月1日に同時スタートすることになった。セブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長は、7月1日の会見で「7payは流通系で初めてのスマホ決済サービス」と語っている。
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7payは現時点では「セブン-イレブンアプリ」の一機能という位置づけになっている。ただ、セブン&アイは19年10月をめどに7pay単独アプリの配信を始め、利用可能な店舗をグループ内外に広げる計画を発表している。つまり7月1日にスタートした7payは本格始動を前にした「先行リリース」の位置づけだったともいえる。
セブン&アイが07年4月に開始した電子マネー「nanaco(ナナコ)」は、イオングループの「WAON(ワオン)」にわずかに先んじて「流通系で初めての電子マネー」となった。スマホ決済でも同様の立ち位置を狙ったが、出だしでのつまずきはグループ全体の今後のデジタル戦略に大きな影を落としそうだ。
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