全1497文字

 NTTドコモが通話回線の卸値を引き下げることになった。総務大臣が日本通信の訴えを受けて、引き下げるよう裁定を下したためだ。ただ、1日当たりの通話回数が4年で2割減るなど、コミュニケーションに占める音声の位置付けは低下した。回線を借りる格安スマートフォンサービスのMVNO(仮想移動体通信事業者)が、どこまで集客につなげられるか未知数だ。

コミュニケーションの市場は大きく変化している(写真:PIXTA)

 「これでようやく、通信大手と同じ条件に立つことができた」。MVNOの先駆けである日本通信の福田尚久社長は、総務大臣が6月30日に出した裁定を受けてこう話す。

 同社は2014年からドコモに、通話回線の卸値(レンタル料)の引き下げを求めてきた。相対交渉は不調で、19年秋、総務省に紛争処理を申請したところ「適正な原価に適正な利潤を加えた料金」でMVNOに卸すよう裁定が下った。ドコモは「卸値は事業者間で自由に設定できるものという当社の主張が認められなかったことは遺憾」とコメントした。

 MVNO各社はドコモから30秒当たり14円で回線を借り、自社のコストをのせて約20円で消費者に提供していた。適正な原価に適正な利潤を加えた料金、という裁定によって、「回線の卸値は30秒当たり4円以下になるはずだ」と福田社長は話す。

 ソフトバンクのワイモバイルやKDDIのUQ mobileというサブブランドも含め、大手キャリアは音声定額サービスを提供している。ワイモバイルは月3GBと10分以内の通話定額がセットで2680円。福田社長はこうしたサービスができなかったといい、今後は「3GBと時間無制限の通話定額を月2000円台前半で提供したい」と話す。

 ただ、交渉のスタートから裁定まで約6年かかる間に、音声コミュニケーションの市場は縮小した。