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 事務用品メーカーのキングジムは7月3日、据え置きタイプの翻訳機「ワールドスピーク」を19日から販売すると発表した。増え続けるインバウンド需要を商機ととらえ、同社として初の翻訳機の開発・発売に踏み切った。

キングジムが発売する翻訳機「ワールドスピーク」

 ワールドスピークは、ホテルや観光施設、商店といった窓口業務を必要とする場所での利用を想定している対話型翻訳機。英語や中国語、フランス語などの主要言語をはじめ、欧州、東南アジア、アフリカなどの諸言語を含め72カ国語を翻訳する。

 2台1組をペアリングして、会話をする人々が互いに向き合った状態で話し合うと、それぞれ選択した言語に翻訳された文章が読み上げられ、端末にも文字が表示される仕組み。翻訳にはグーグルやマイクロソフト、バイドゥなど複数の翻訳エンジンが利用されているという。価格は2台1組で14万8000円(税別)。月額の利用料や端末の更新料などは不要だ。

 翻訳機ではソースネクストの「ポケトーク」が、発売から1年余りで出荷台数が30万台を突破(2月末時点)するなど、需要が高まっている。ワールドスピークはこういった携帯型の翻訳機とは一線を画した据え置きタイプだ。「2台1組とすることで快適な会話を実現する」(同社)ことで先行品との差別化を図っているという。厚型ファイルやラベルプリンターの販売を通じて培ってきた納品業者との販売網を生かして、法人向けの営業を狙うようだ。

 訪日外国人は2018年に3119万人を記録したが、今後もラグビーワールドカップや東京五輪・パラリンピック、大阪万博などのビッグイベントが控えており、同社はインバウンドビジネスを大きな商機ととらえ初の翻訳機市場への参入に踏み切った。3日に都内で会見したキングジムの宮本彰社長は「小型の翻訳機は(キングジムの手掛けてきた)電子文具に近いものがある。翻訳の正確性など商品もまだまだ発展途上で改善の余地はある。この時期の参入はベストタイミングだ」と語った。

キングジムの宮本彰社長

 キングジムはこれまでにも、文字入力機能に特化した携帯端末「ポメラ」(08年)や、手書きのメモをスマートフォンで撮影すればデータ化できる「ショットノート」(11年)など、ユニークなヒット商品を生み出してきた。

 商品開発について、宮本社長はたびたび「10打数で1本のホームランを打て」と公言し、失敗を恐れずに新しい市場を切り開く姿勢を打ち出してきた。ただ、ワールドスピークについては「開発にも結構(お金を)かけた。これは本命、ホームラン狙いの商品ですよ」と自信をのぞかせる。初年度の販売目標は8000セット。価格は約15万円と高価だが、文具業界のヒットメーカーは新規参入の市場でも成功を収めることができるだろうか。

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