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日立製作所がスイスABBの送配電網(パワーグリッド)事業の買収手続きを完了した。買収額は日立として過去最大の7500億円。無事に手続きを終えたとはいえ、買収を決定してから対象事業の売上高は1割ほど減少したもようだ。コロナ禍で送配電事業者の投資も後ろ倒しが続く。データを活用する「ルマーダ」事業との相乗効果で成長軌道に戻せるか。

日立製作所の東原敏昭社長(写真:AFP/アフロ)

 スイスABBのパワーグリッド事業を承継する新会社、Hitachi ABB Power Grids(日立ABBパワーグリッド、スイス・チューリヒ)が7月1日付で発足した。日立が約7500億円(アドバイザリー費用などを含む)を投じ、ABBから分割された事業会社の株式の80.1%を取得した。日立は2023年以降、ABBが持つ残りの19.9%の株式を取得して完全子会社にする予定だ。

 発電側の脱炭素化が進み、需要側も再生エネルギーの活用を希望する中、需給調整などの高度な機能を持った送配電網への投資が増えると見込む。日立ABBパワーグリッド社の会長に就任した西野壽一氏(日立副社長)は、2日に開いたオンライン会見で「24年度には企業価値を今の2倍にしたい」と意気込んだ。

 ただし、送配電網の市場には新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出ている。西野氏も「送配電事業者も運輸などのインフラ企業も投資を後ろ倒しにしている」と認める。それでも日立は買収を発表した18年12月時点で評価した110億ドル(約1兆1800億円)という企業価値を変えず、予定通りのスケジュールで手続きを終えた。「後ろ倒しはあるが、今までにないほど受注が積み上がっている」(西野氏)ことを評価した。

 17年12月期の売上高が100億ドルだった買収事業の売上高が減少傾向にあることも意に介さない。18年以降、ABBはパワーグリッド事業そのものの数字は公開していないが、同事業を含む「非継続事業」の売上高は19年12月期に90億ドルまで減っている。少なくとも1割は減った計算だが、西野氏は「構造改革を進めてきた結果」とし、想定内だと説明した。