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 内閣府は6月29日、大阪国際会議場で「スーパーシティ スマートシティフォーラム2019~スーパーシティに係る国内外の最新動向と今後の展望」と題する20カ国・地域首脳会議(G20サミット)関連イベントを開催した。「スーパーシティ」はAI(人工知能)やビッグデータ、自動運転などを活用した最先端都市だ。

 スーパーシティを実現するための国家戦略特区法改正案は6月7日に閣議決定されたものの、6月26日に閉会した通常国会では廃案となった。廃案になったのは、規制緩和の手法を巡り内閣法制局との調整に時間がかかったためだ。

 内閣法制局は、地方自治体が制定する条例で法律が規定する規制を緩和できる仕組みが憲法違反ではないかと指摘。その後、「(新たな規制緩和項目を追加することによって)法制局との調整が済んだが、時間的な問題で今国会では廃案になった」(地方創生推進事務局)という経緯がある。政府は改正案を秋の臨時国会に再提出し、成立を目指す。

 フォーラムに登壇した片山さつき・内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革、女性活躍担当 まち・ひと・しごと創生担当)は「次回の国会で、スーパーシティ構想に関する法案を提出して成立にこぎ着けたい」と抱負を語った。スーパーシティ構想に関する法案が通れば、スーパーシティ構想のモデル都市を選定することになる。

 モデル都市には現時点で福島県の会津若松市や福岡市が名乗りを上げるとみられている。さらに、同フォーラムに講演者として参加した黒岩祐治・神奈川県知事は本誌に対して「スーパーシティ構想のモデル都市に手を挙げたい。その場合、藤沢市で行っているスマートシティプロジェクトが対象になる」と語った。

 米国や中国など各国でスマートシティの実証実験が進む中、日本の現状は「周回遅れ」とも言える。世界にキャッチアップしていくためにも、急いでスーパーシティ構想を実現しなければならないのは間違いない。内閣府の「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会の座長を務める竹中平蔵・慶応義塾大学名誉教授(東洋大学教授)は次のように話す。

スーパーシティ構想について講演する竹中平蔵・慶応義塾大学名誉教授

 「スーパーシティなど破壊的イノベーションに対して、日本では既得権益を持っている勢力がどうしても反対する。自己否定しなければならないからだ。AIやデータガバナンスなど新たな仕組みを作るのは重要だが、いまあるもののルールをどう変えるのかがポイントになる。大変な作業であり、新しいデータを活用するためには住民の合意が必要になる。(地方自治体の)首長さんのリーダーシップが極めて重要であるし、投資する起業家のリーダーシップが必要になる。さらに開かれた柔軟な仕組みでないと困る」

 一方で神奈川県の黒岩知事は「スーパーシティ構想のモデル都市選定基準が明確ではない」とも語る。

 急ぎながらも、拙速にならず、スーパーシティ構想を着実に実現できるモデル都市をいかに選ぶのか。今秋にも成立するとみられる改正法を受けての動きが重要になってくる。

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