金融庁は2019年6月28日、ジャパンベストレスキューシステム(JBR)子会社のジャパン設立準備に対し、損害保険業の免許を付与したと発表した。ジャパン設立準備が設立されたのは今年4月。JBRの100%子会社として設立されたが、翌5月にはJBRが11億9500万円、そのほか2社が1億円ずつで計13億9500万円の増資を発表していた。

 この2社がどの企業かはこれまで明かされなかったが、日本生命保険とセブン銀行であることが金融庁の発表資料から明らかになった。免許を取得したジャパン設立準備は7月1日にレスキュー損害保険と商号を変更し、7月29日から損害保険事業を始めるとしている。

 JBRでは既に子会社のジャパン少額短期保険を通じて賃貸住宅入居者向け家財保険や自転車保険、弁護士費用保険などを販売してきた実績がある。今後は、ジャパン少額短期保険が新設のレスキュー損害保険の子会社となり、両社がそれぞれの特徴を生かした商品開発を進めていく考えだ。

 出資企業に名を連ねたセブン銀行だが、2019年3月期決算の重点施策として「出資先と連携した独自商品(運用、保険等)の開発と提供」を掲げており、今後、レスキュー損害保険と共同で商品開発を進めていくとみられる。

 セブン&アイ・ホールディングスによると、日本国内におけるグループ店舗の来店客数は約2400万人。セブン&アイはこの顧客接点を生かして、金融商品を販売していく戦略を掲げている。「セブン銀行としては与信、投資、保険の3つの領域を顧客に訴求していく」(セブン銀行)としており、今回の損保会社の出資はその戦略に則った一手といえる。

 想定しているのは「コンビニらしいユニークな保険」だ。セブン銀行が出資したJBRグループのジャパン少額短期保険は旅行日程からあらかじめ指定しておいた時間帯に雨が降った場合に旅行代金を還元する「お天気保険」というユニークな商品を提供している。コンビニの商品開発力が保険の開発にも生かされれば、新しい保険商品が生まれる可能性も出てくる。

 また、セブン-イレブンでは7月1日よりスマホ決済「7pay」を開始する。購買データに基づいて必要な保険を最適なタイミングでプロモーションするといったことも考えられるほか、今秋をめどに設置を始める新型ATMの活用も期待できる。既に、セブン銀行子会社のセブン・ペイメントサービスとアクサ損害保険は、2019年4月より緊急時の保険金ATM受け取りサービスを始めている。

 新型ATMには「従来実現できなかった新たな機能を実装」(セブン銀行)としており、保険の販売から保険金の受け取りまでの一連の手続きをコンビニで完結できる可能性もある。

 コンビニ業界では2018年10月にローソン銀行が開業するなど、金融領域へ本腰を入れる動きが広がっている。2001年にセブン銀行(当時はアイワイバンク銀行)を開業しているセブン&アイは、当然、知見やノウハウの蓄積で先行している。

 今後、2400万人の顧客接点を金融の世界でどのように生かしていくのか。与信、投資、保険などの領域に対して、決済などのデータをどれだけ有効活用できるかがカギを握っているといえそうだ。

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