LINEは6月27日、個人の信用を点数で可視化する「LINE Score」を発表した。同日、舞浜アンフィシアター(千葉県浦安市)で開催した「LINE CONFERENCE 2019」で同社の出澤剛代表取締役社長CEO(最高経営責任者)が発表した。

 LINE Scoreは100~1000点の間で個人の信用を数値化するサービス。点数に応じて、LINEグループのサービスや提携企業の優待を受けられる。例えば、カーシェアリングを借りる際に割引クーポンの優待を受けられたり、人気旅館を優先予約ができたり、最適なローン条件の提示を受けられたりする。

 LINEの利用状況によってユーザーごとにスコアは異なり、用意された15問の質問に答えるとさらにスコアが向上する仕組み。質問は生年月日や性別などの基本情報に加え、住居の所有状況や、勤務年数や企業規模、年収、保険証種別など多岐にわたる。

 「LINE Scoreはあくまでもユーザーの同意が条件だ」「勝手に点数を算出することはない」「提携企業との連携も企業ごとに同意をいただく」。

 LINEの出澤社長は、LINE Scoreの説明の中でも、ことのほかプライバシーへの配慮に時間を割いた。

 ヤフーが7月から開始すると発表した「Yahoo!スコア」の炎上が念頭にあったのは明らかだ。

 ヤフーは6月3日にYahoo!スコアを発表して以降、対応に追われる日々が続く。同社には「個人の信用スコアが勝手に作られている」「ユーザー自身が拒否の意思表示をしなければならないオプトイン方式が採用されている」「自身のスコアを確認できない」などの批判が殺到したからだ。

 ヤフーは6月23日、説明が不十分だったことを認め、個人の利用者向けに詳細な説明ページを開設した。

ヤフーの炎上は他山の石

 ヤフーはちょうど1年前、同じ時期にLINEに辛酸をなめさせられている。

 当時、Yahoo!ウォレットの拡張機能としてQRコード決済を始めていたヤフーは、スタートダッシュの秘策として、一定期間の加盟店手数料の無料化などを検討。しかし、LINEが6月28日に開催した「LINE CONFERENCE 2018」で「Payment Revolution(決済革命)」とうたって加盟店の初期費用無料化や決済手数料の3年間無料化を先に発表してしまい、出鼻をくじかれた痛い思い出がある。

 そのため、今回、ヤフーはLINEよりも早く信用スコア事業を始めるべく急いだ形跡がある。結果的にユーザーへの説明が不足し、誤解を広げてしまった。

 LINEはヤフーの炎上の経緯を見ながら、発信するメッセージを慎重に選択。「行動履歴」や「購買履歴」といったユーザーが過敏に反応する言葉を使わず、「利用傾向」という言葉を選択。加えて、「生のデータではなく粒度を荒くした状態でスコアに反映させる」(出澤社長)とし、プライバシーへ配慮した設計になっていることを強調した。

 昨年は先出しじゃんけんでヤフーの機先を制し、今年は後出しじゃんけんでヤフーの二の舞いを避けたLINE。同社のマーケティングの妙技が改めて光る結果となった。

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