カルフールも中国事業を売却

 以前からネットでの購入が当たり前だった衣料品や雑貨、家電の分野だけでなく、上海高島屋にとって集客の要となっていた食料品や飲食の分野でも、高島屋が中国に進出してからの数年で一気にネット経由のサービスが広がった。

 中国ネット通販最大手のアリババ集団は17年に生鮮スーパー「盒馬(フーマー)鮮生」の出店を開始。スマートフォンのアプリで注文すると最短で30分以内に商品を配達してくれるのが売りだ。

 外食分野では、アリババ系の「餓了麼(ウーラマ)」やテンセントが出資する美団点評のアプリを使って、出前サービスを利用するのが日常の光景になった。商業施設に入る飲食店にとっては来店してもらうのも出前するのも変わらないが、商業施設側から見れば食事の前後に商品を買ってもらう機会が減る。

 23日には仏小売り大手のカルフールが中国事業を家電量販大手の蘇寧易購集団に売却したばかり。カルフールは90年代後半以降、中国で店舗網を広げ、成功を収めた。しかし、近年はネット通販に押され、業績が低迷していた。

 高島屋は今後、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国で事業を広げる計画だ。村田社長は「東南アジアの富裕層の中には、シンガポールの高島屋は知っていても、日本橋の店は知らないという人もいる」と話す。シンガポールで築いたブランド力を背景に東南アジアに経営資源を振り向ける。

 ただ、東南アジアでも中国と同様、ネットを通じた様々なサービスが広がり始めている。シンガポールでの成功体験とブランド力に頼るだけでは、ネット企業との戦いに勝てないだろう。

上海高島屋の入り口には、中国語と日本語で閉店のお知らせが張られていた
上海高島屋の入り口には、中国語と日本語で閉店のお知らせが張られていた
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