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食い違う日本証券業協会とゆうちょ銀の認識

 ゆうちょ銀の投信販売に対しては、業界内からガバナンスを置き去りにした悪質性を指摘する声が噴出している。

 ゆうちょ銀の社内規則は、自主規制団体である日本証券業協会(日証協)の高齢者向け勧誘・販売ガイドラインに準じ、定めていたもの。ゆうちょ銀によると、同行は4月下旬、日証協に「今回の不適切行為が規則違反にあたるか」について確認したという。しかし「日証協側から違反にあたるという回答はなかった」(ゆうちょ銀)。

 一方、日証協側の認識はやや異なる。「確かにゆうちょ銀から一報は受けたが、詳細な報告を受けていないため、確認を求めているところだ。このため、本件が規則違反に該当するか否かは判断しかねる」としている。

 関係者によると、日証協は「(ゆうちょ銀行の)ガバナンス体制に問題がある」と認識しており、報告を精査したうえで処分を検討しているもようだ。内部関係者は、不適切な行為が行われていたのが全店舗の9割に上ったことを重く受け止め「コンプラ意識が徹底されていなかったことは明らか」と指摘している。

 投信の販売に関しては、自主規制規則だけでなく法令規則がある。金融商品取引法に基づく「適合性原則」だ。この規則では「顧客の知識などを総合的に考慮したうえで勧誘する」よう求めている。ゆうちょ銀はこの件についても6月下旬、金融庁に今回の行為が違反にあたるかを確認したが、「適合性原則には違反しない」との回答を得たとしている。しかし、金融庁も今後、事態を注視する姿勢だ。

 ゆうちょ銀が今回の不適切行為に走った背景には、日銀のマイナス金利政策が続く中、同行の資産運用収益が低迷していることがある。融資ができないゆうちょ銀は、運用収益の低下を投信や保険販売による手数料収入を増やすことで補おうと奔走してきた。しかし、顧客からは「長年慣れ親しんできた郵政がまさかそんなことをするとはという思いだ」と憤りの声も出ている。

 日本郵政はガバナンス体制を早期に再構築し、信頼を回復できなければ、経営基盤が揺らぎかねない状況に陥っている。

■修正履歴
2018年9月に日本郵政は本社を移転していますが、本記事に掲載していた写真が移転前の旧社屋のものでした。お詫びの上、写真を差し換えます。 [2019/6/26 12:00]

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