ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険を傘下に置く日本郵政のガバナンス(企業統治)が問題視されている。
ゆうちょ銀では高齢者への投資信託の不適切な販売をしていたことが発覚。かんぽ生命では、契約者の負担が増えるような保険の乗り換え契約をしていたことが明らかになった。日本郵政を管轄する総務省の石田真敏総務相は25日、閣議後の記者会見で、グループ全体での法令順守と営業活動の適正化を徹底するよう19日付で指導したことを明らかにした。

ゆうちょ銀は今年2月、70歳以上の高齢者への勧誘・販売に関する社内規則違反が疑われる事案があったことから、内部調査を開始した。2018年4月から19年2月の販売実態を調べたところ、233店のうち約9割にあたる213店で、勧誘時に事前に行うべき「健康状態が良好か」「会話がスムーズにできるか」などの確認を怠っていた。
さらに詳細に説明すると、ゆうちょ銀の行員は契約するまでに2ステップの確認が必要だった。1ステップ目は顧客の健康などの確認、2ステップ目は顧客の個別商品に関する理解度などの確認だった。ところが、ゆうちょ銀の多くの店で、1ステップ目でやるべきことを飛ばし、2ステップ目の項目と併せてまとめて確認していた。
契約前に必要項目は確認していたことから、ゆうちょ銀は「顧客への影響はなかった」としている。だが、日本郵政の長門正貢社長は24日の会見で「社内規則が順守されておらず痛恨の極みだ」と陳謝した。
さらに、かんぽ生命保険でも、顧客の不利益となるような契約が複数あったことが判明した。2018年11月分の乗り換え契約およそ2万1000件を調査したところ、約5800件で契約年数が上がって保険料が高くなるなどの不利益となる可能性があるとしている。
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