LIXILの大手代理店からも瀬戸氏支持の声

 株主総会を目前に控え、緊張感が高まっているのは瀬戸氏を支持する投資家も同じだ。瀬戸氏解任を主導した潮田氏・山梨氏の取締役解任を求める臨時株主総会の招集請求をした英米機関投資家4社のうち3社は、会社提案に反対し、瀬戸氏の株主提案を支持することを相次いで表明している。

 その1社、米インダス・キャピタル・パートナーズのファンドマネジャー、ハワード・スミス氏は、前述の会社側の委任状の勧誘手法について「驚いた。個人投資家をだますようなことはやってはいけない。これ自体がガバナンス不全を示している」と話す。「LIXILの株主総会は、日本企業のガバナンスを問う上で大事なテストケースになる」とし、国内外の株主の議決権行使の行方を注視しているという。

 また、潮田氏や山梨氏の取締役解任を求める臨時総会の招集請求を主導した英マラソン・アセット・マネジメントは、瀬戸氏解任の経緯に関する指名委員会と取締役会の議事録の開示請求を今も続けている。潮田氏が自ら取締役を辞任すると表明したことで臨時総会の請求は取り下げざるを得なかったが、議事録の開示請求は株主総会までに実現しなくても、何が起きていたかを確認するために諦める考えはないという。

 LIXILの取引先でも声を上げるところが出てきた。LIXILのトイレなど水回りの住設製品を主に扱う代理店組織の会長も務める、アイナボホールディングスの阿部一成社長は日経ビジネスの取材に応じ、既に議決権を行使し、会社提案に反対、瀬戸氏側の株主提案に賛成したことを明かした。

 阿部氏は、「瀬戸さんを含め、株主側の候補者は現場のことを良く分かっている。社外取締役ばかりの会社提案でまともな経営ができるとは思えない」と話す。瀬戸氏が負けた場合に会社との関係が悪化してしまうリスクもあるが、「自分たちの販売力を高めれば会社側も無視できない」(阿部氏)と覚悟の上だという。

 一方、会社側の取締役候補は6月19日、潮田・山梨体制を批判し続けてきた社内の経営幹部と面談した。上級執行役ら14人で構成する「ビジネスボード」のうち10人は、潮田・山梨体制を批判すると同時に瀬戸氏の経営方針を支持する考えを文書で指名委員会宛に送付している。一部の機関投資家からは、会社側はこうした社内の声をしっかりと受け止めていないのではないかといった批判の声が高まっていた。

 会社側は6月17日、指名委員会名で取締役候補の選任プロセスについて説明する文書を公表している。その中で「瀬戸氏の提案の、全員一括での選任という考え方が、当社や株主にとっての最善の利益になるとは思いません」と、指名委員会の考えを改めて強調している。

 瀬戸氏解任から始まったLIXILのガバナンス騒動に、株主一人ひとりはどのような審判を下すのか。結果は6月25日に明らかになる。

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