カリスマ経営者として知られる日本電産の永守重信会長兼CEO(最高経営責任者)が18日の株主総会で、社名について「いずれは変えないといけない時が来ると思う」と変更の可能性を示唆した。想定しているのは「Nidec(ニデック)」。同社製品のブランド名である。

(写真:共同通信)
(写真:共同通信)

 日本電産は、永守会長が1973年7月、仲間3人とゼロから創業し、今や世界一のモーターメーカーに成長した。その象徴とも言える社名を、時期こそ明示しなかったものの変えると言い出したのはなぜか。

 永守会長は、総会後の記者会見で「完成品を手がけるようになったら(変更を)判断する」と話したが、主力の自動車や家電・商業・産業用、パソコン分野などで完成品を手がける考えのないことはこれまで断言してきた。個人向け商品も想定されるが、当面そうした開発は進めていない。

 もともと英文社名が「NIDEC CORPORATION」であることは変更の理由の1つだろう。海外では既にその名で知られている。2019年3月期の売上高(1兆5183億円)に占める海外比率は86.1%。2030年の目標として掲げる売上高10兆円を達成するには、その比率をさらに高めるほかないから名実ともに「Nidec」が表看板になる可能性はある。

 永守会長は裸一貫で創業した時から「松下電器産業をも超えるような日本一の会社を目指す」として日本電産と名付けたといわれる。まだ製品なども何もなく、あるものといえば3人の仲間だけというその時に、永守会長が手がけたのは会社の基本方針を作ることだった。

 「非同族企業」「いかなる企業のカサの中にも入らない」「インターナショナルな企業」を経営3原則とした。永守イズムを記した社内限りの冊子「挑戦への道」にはこうも書いている。「始めにめざす目的、志をしっかりと掲げなければ、何事も成就出来ない」と。

 10兆円という規模と共に永守会長は、「『インテル インサイド』をうたった米半導体メーカー、インテルのような価値の高い、強い部品を目指す」とも語ってきた。例えば将来の車載事業ではEV用のモーターだけではなく、駆動システム全体のプラットフォームを作ることに力を注いでいる。

 これまでの63件に及ぶM&A(合併・買収)は海外が38件と過半を超え、より大きな存在へと着実に歩を進めている。大風呂敷を広げているように見えながら実態は堅実きわまりなく、目標に向けて努力を惜しまない。それが永守会長の経営だ。社名変更は「松下電器を超える日本一の会社」という創業時の夢を超え、もう一段、高みを目指すという永守氏の戦略の一歩と言えるだろう。

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