有識者会議は10市場を提言していた

 若干補足をすると、③はいわゆるスマート農業や育種のことで、アジア・アフリカでの農業生産性向上のニーズに対して売り込んでいこうというもの。⑥はバイオ医薬品・再生医療そのものではなく、「関連産業」という言葉を用いることで、細胞などの培養や運搬、受託製造などの周辺産業の育成を目指す。⑦は微生物や細胞などの培養による食料や工業製品の生産。⑨は欧州や米国で、温暖化ガス対策として木造高層ビルの建設が進められていることに着目し、日本でも木造大型建築を普及させ、海外への輸出も狙う。

 どの市場領域が選定されるかによって、政府による技術開発支援などの手厚さが変わってくるため、業界の注目は否応なく高まっている。内閣府の担当者は「以前のバイオ戦略は研究開発のテーマを並べるだけだったので、民間企業の関心を得にくかった。市場を明記することで、今後、民間企業にもロードマップ作成に参画してもらいやすくなる」と期待する。

 実は有識者会議が5月30日にまとめた提言では10の市場が記載されていたが、最終的に決まった戦略では9市場と1つ減った。

 有識者会議で1つにまとまっていた「バイオ素材」と「バイオプラスチック」が2つに分かれたことと、3つに分かれていた「機能性食品」「デジタルヘルス」「デジタル医療」が⑤に集約されたためだ。

 内閣府の担当者は「各省庁と再調整しただけ。有識者会議と並行して各省庁と調整をしていたため数が変わった」と説明するが、業界からは「各省庁の要望が先にあって、有識者会議の提言をないがしろにしたのでは」との声も漏れる。

 いずれにせよ9つの市場領域は決められたものの、それぞれ具体的にどの程度の市場規模が見込めるのか、そのためにどのような施策が打ち出されるのかは、19年度に策定されるロードマップを見なければわからない。11年ぶりに策定されたバイオ戦略が本当に市場創出につながっていくのかは、長い目で見守っていく必要がありそうだ。

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