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 個人間取引(CtoC)サービスを手がけるメルカリの子会社で、スマホ決済サービス「メルペイ」を運営するメルペイ(東京・港)が、大型のポイント還元キャンペーンを始めた。6月14日から6月30日までの間、メルペイを通じた支払い額の50%相当を、2000円分を上限にポイントとして利用者に還元する。コンビニエンスストアのセブンイレブンとファミリーマートの店頭では、還元率は70%になる。

 メルペイは4月末から5月上旬にかけて、同様のポイント還元キャンペーンを実施した。前回はポイント還元を受ける条件として、銀行口座か運転免許証などを登録して「本人確認」を済ませる必要があった。第2弾となる今回は、本人確認済みの利用者がキャンペーンに参加するには4月23日に開始した新機能「メルペイあと払い」の使用が条件となる。大規模キャンペーンのたびにスマホアプリの新しい機能を段階的に試してもらい、決済手段としての普及と定着を狙う。だが、そこには単なる決済手段の利用拡大を超えたメルカリとしての戦略も透ける。

 「メルペイあと払い」は、事前に残高をチャージしなくても店舗などでスマホ決済が使える機能。クレジットカードと同様に上限額が設定されており、利用金額は翌月にまとめて支払うことになる。プリペイド式の電子マネーをわずらわしく思う人にとっても利便性が高い。現状では後払い可能なスマホ決済サービスは少ないため、メルペイ普及の切り札になり得る機能だ。

 しかし、後払いサービスを導入することで、企業は代金の未回収リスクを背負うことになる。例えばZOZOが運営するファッション通販サイト「ZOZOTOWN」では、商品代金の支払い期間を最長2カ月間とする「ZOZOツケ払い」を2016年に開始したが、一部の利用者が支払いを滞納したため、代金回収を担うGMOペイメントサービス(東京・渋谷)では一時的に未回収率が急増した。

 メルペイはこうした未回収リスクへの対策として、本人確認の徹底に加え、メルカリでの取引情報を利用している。メルカリでの商品のやり取りなどから、利用者一人ひとりの信用力(信用スコア)を評価し、それに基づいて「メルペイあと払い」での最大上限額を設定する仕組みだ。またメルペイは、利用者の信用スコアに応じて支払い期限の通知のタイミングを調整するなどの取り組みも進めているという。筆者の場合、これまでにメルカリで3点を売却し2点を購入したことがあるが、後払いの最大上限額は2万円だった。

「メルペイあと払い」では個人の信用力に応じて後払いできる最大上限額が決まる。

 メルカリは自社で蓄積した大量の取引データを生かすことで、他社との差異化につながる機能をいち早くメルペイに導入できた。同社は「メルペイあと払い」によって中核のビジネスであるCtoCの取引も活性化できると考えているようだ。「新品の商品を『メルペイあと払い』で購入し、使用後すぐにメルカリで売ることで、差額分の支払いだけで済ませるという使い方も想定している」(メルペイ広報)。こうした消費者が増えれば、メルカリにより魅力的な商品が出品され、取引の拡大につながる可能性がある。将来的に上記のような循環を実現するためにも、キャンペーンを仕掛けて後払いの利便性を大々的にアピールする必要があった。

 総額100億円相当のポイント還元をこれまでに2度実施しているPayPay(東京・千代田)を筆頭に、スマホ決済サービス各社はキャンペーンを通じた利用者の囲い込みに力を入れる。従来のクレジットカードや電子マネーのシェアを奪えれば、加盟店手数料が得られるだけでなく、膨大な購買データを使った新規事業につなげられる。

 一方、メルカリは自社のCtoCの取引サービスと決済サービスの連携でエコシステムの確立を狙う。キャンペーンの成否が今後のメルカリの成長力に結び付きそうだ。

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