電気事業連合会(電事連)の会長が6月14日、中部電力の勝野哲社長から関西電力の岩根茂樹社長に交代した。国内では原発の再稼働が遅々として進んでいないが、関電は国内電力でも最多となる4基を再稼働。原発再稼働で電力業界をリードする関電が電事連会長に就くことで、下火になっている原発議論が進む可能性がある。

「原子力の将来の新増設、リプレースに備えて、人材確保、技術面を高めていく」。同日の会見で、岩根新会長は、そう意気込みを語った。
電力大手にとって原子力戦略が立てずらい状況にある。国の長期指針の「エネルギー基本計画」では、2030年時点の電源構成に占める原子力の比率を20~22%にするとしているが、50年の計画は明示されていない。原子力の運転は原則40年、最長で60年と長く、50年をにらんだ長期計画を作りたいが、それが難しいのだ。
そんな中での関電の岩根社長の電事連会長就任。関電は再稼働した原発が4基と国内最多だ。福島第1原発事故を起こした東京電力や、これまで電事連会長を務めた中部電力と比べて、原発事業を「我がこと」として捉えやすい。ある業界関係者は「岩根氏は電事連会長として原発の推進に向けた発言をしていくのではないか」とみる。
近年は電力、ガスの小売り自由化や、再生エネルギーの普及策などが話題になることが多かった電力業界。関電社長の電事連会長はどこまで原発議論を仕掛けていくのか。注目が集まりそうだ。
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