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民泊新法施行1年にあわせて会見を開いたエアビーアンドビー。エアビー共同創業者兼最高戦略責任者のネイサン・ブレチャージク氏(右)とエアビー日本法人の田辺泰之代表

 「パートナーがいることで、難しい場面でもスムーズに進める。市場に活気づけの燃料も投下してくれる」

 来日した民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビーのネイサン・ブレチャージク共同創業者兼最高戦略責任者は2019年6月6日、エアビーと日本企業117社との連携組織であるAirbnb Partners(エアビーアンドビー・パートナーズ)についてこう話した。

 民泊市場で世界最大手のエアビー。しかし日本では、思うように市場を拡大できていない。

 2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、民泊のルールが明確になる一方、年間180日の上限規制など参加のハードルは高くなった。エアビーも新法施行時に、民泊新法に基づいていない物件などを削除し、一時登録物件数は約2万2000件まで減った。現在は5万件まで回復したが、約6万2000件の登録があったピーク時の水準には到達していない。

 Airbnb Partnersは、18年6月15日の民泊新法施行の前日に、エアビーが、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)や損害保険ジャパン日本興亜など36社とともに立ち上げた。大手企業との提携で貸主と借り手双方へのサービスを手厚いものにして市場を拡大するのが狙いだ。ブレチャージク氏は6日、都内で開かれた会見で、参加企業が117社にまで拡大したことを発表した。

 エアビーは日本に、パートナー企業を探す専門部隊を置いている。Airbnb Partnersのような大規模な企業体を組織しているのも日本独自だという。

 エアビーはAirbnb Partnersとともに、ホストの民泊運営を効率化し、ゲストへのサービスを充実させる。CCCのTポイントプログラムにエアビーが加盟し、損保ジャパンら保険会社とともに利用者向けの保険プログラムを提供する。全国に約600のFC店舗を展開する不動産仲介のハウスドゥとも連携し、空き部屋の民泊への転用も進めていく。

 Airbnb Partnersとは別に、自治体とも協力関係を築く。東京都新宿区と民泊促進の提携を結び、地域住民に民泊の理解を促すパンフレットを配布して啓蒙を図っていく。

 厳しい規制の中、エアビー単独で、日本市場で民泊を普及させるのは難しいと判断したようだ。

 日本市場では、「一般家庭に泊まり現地の文化を体験する」という民泊の理想とはかけ離れた状態ができている。観光庁によると民泊新法施行直後の18年7月時点では、家主滞在型の民泊は45%だったが、19年5月には26%にまで下がった。代わって、家主不在型は74%まで増え、家の住民ではない多くの“プロ”が参入している現状がうかがえる。

 エアビーのブレチャージク氏は、「エアビーのホストの大半は今もカジュアルホスト(旅館やホテルなどではない、家を貸し出す形のホスト)」と述べたうえで、新法施行以後、「東京などの大都市ではカジュアルホストが参加するのが難しくなっている」とも認めた。「エアビーの理念を理解してくれるなら、カジュアルホストだけにはこだわらない」と企業の参入も歓迎する。民泊の理想と現実の間で揺れつつも、エアビーは何とか日本市場を切り開こうと挑んでいる。

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