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(写真:AFP/アフロ)

 コンビニエンスストアやスーパーの総菜などの中食10兆円市場に、新たなプレーヤーの参入が増えている。スマートフォンのアプリなどを使って注文を受け付けるデリバリーやテークアウトに対応する飲食店だ。

 2019年10月に消費増税を控えるが、テークアウトとデリバリーは軽減税率の対象となる見通し。そのため、店で食べれば消費税が10%課されるメニューも、お弁当として持ち帰ったりデリバリーで受け取ったりすれば消費税率は8%となる。

 ホットペッパーグルメ外食総研は19年の食のトレンドを表す言葉として、デリバリーやテークアウトなどの「ポータグルメ」を挙げた。同総研の稲垣昌宏上席研究員は「これまでの中食市場の中心はコンビニなどで購入する弁当など、速くて安いコストパフォーマンスを重視した商品が多かった。これからはおいしさを求めて持ち帰れるポータグルメが中食市場のカギとなる。すでに、予約の取れないすし屋といった高級店がテークアウトに対応するといった動きがある」と言う。

 今年4月、スタートアップのTAPGO(タップゴー、東京・新宿)はテークアウトのアプリの提供を開始した。日比谷駅付近など地域は限られるが、銀座の高級すし店をはじめとした個人店舗をラインアップにそろえている。「時間がなくてもおいしいものを食べたいという人に、使ってもらえるのではないか」(タップゴーの井上健氏)という。

 ウーバーイーツは都内を中心にサービスを提供し、連携する加盟店は1万店を突破。サラダやスムージーなどヘルシーなメニューを提供する店舗も多い。LINEはテークアウトサービスを今年4月から開始、すかいらーくやペッパーフードサービスといった外食大手もデリバリー事業を強化している。

 様々なプレーヤーが参入する日本だが、サービスの先行する海外では日本以上に競争の激しさが増している。

 アマゾン・ドット・コムは11日、食事の宅配サービス「アマゾン・レストランツ」から撤退すると発表した。ドアダッシュやウーバーイーツといったライバルが台頭したためという。

 また、中国の大手食品宅配のウーラマは17年に百度(バイドゥ)の傘下の同業を取り込み、18年にアリババに買収された。中国市場はテンセントとアリババの食品宅配サービスがシェアの約8割を占めるとされ、すでに合従連衡が進む。

 インターネットサービスに詳しい東海大学の小嵜秀信客員准教授は「フードデリバリーで構築した物流網を、テックジャイアントはラストワンマイルの物流にしようとしているのではないか」と指摘する。「そのため、食のデリバリーを手がけるスタートアップに多額の資金が集まってきている」という。

 では日本ではどのような発展をするのだろうか。

 LINEの藤原彰二カンパニーエグゼクティブCMOは「日本は海外と違った発展をするだろう」とし、「LINEはフードデリバリーを使った『CtoB』の世界にチャレンジしたい」と話す。例えば、ユーザーのお気に入りの店舗がLINEのデリバリーに、ユーザーの後押しで加わったとする。そうすると、LINEがユーザーにLINEのサービスで利用できるポイントを付与する、といったモデルだ。

 消費税増税に伴う軽減税率により、にわかに注目を集めるデリバリーの市場。単純にお弁当を運んだり受け取ったりするだけではなく、物流への発展や消費者との接点をつくるといった新しい産業の土壌になる可能性も秘めている。

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