全2251文字

 数年前から米グーグルでくすぶってきた社員と経営層の対立が今、爆発寸前の状態まできている。幹部のセクハラやその対応に反対して、2018年11月に抗議運動を主導した社員の一人が「会社の報復攻撃を受けている」として19年6月7日、退社を決めたとブログで公表した。

18年11月、サンフランシスコでグーグル社員たちによる抗議集会が開かれた(写真:AP/アフロ)

 きっかけは18年10月25日の米ニューヨーク・タイムズの記事だった。アンドロイド基本ソフト(OS)の開発で知られる当時のシニア・バイスプレジデント、アンディ・ルービン氏が社員に対するセクハラを理由に14年にグーグルを辞めた時、9000万ドル(約97億円)の退職金を受け取っていたと報じた。

 これを知った世界中のグーグル社員およそ10万人のうち2万人が、会社の判断に対して猛烈に反発。就業時間中にプラカードを持って屋外に出るなどして、抗議運動を展開したのだ。この抗議運動「ウオークアウト」は世界のグーグル拠点で実施され、各国で報道された。

 ニューヨーク・タイムズの記事が出た直後、グーグルは過去2年間にセクハラに関わったとされる社員48人を解雇したことを明かした。うち、13人は上級管理職。退職金も支払わなかった。

 同社は事態を早く収束させようとしたのだろうが、その後さらに泥沼化していく。ウオークアウトを主導した2人の社員が、仕事から外されるなどの形で会社から報復攻撃を受けているとして19年4月26日、社員向けにミーティングを開き、共闘してくれる仲間を募った。しかし、今回、2人のうちの1人が退社を決意するに至った。

 人権をめぐるグーグルの問題はこれだけではない。

 トランスジェンダー(出生時の性と自身の認識する性が一致しない人)のエンジニア、リズ・フォン・ジョーンズ氏は、マイノリティーの人権をめぐる職場環境改善のための業務を担当していた。会社からの任務としてである。ところがそのうち、社内の反対派からハラスメントを受けるようになった。

 ハラスメントは次第にエスカレートしていき、ついに反対派はジョーンズ氏の個人情報を白人至上主義者らのブログに掲載した。ジョーンズ氏はこうした非道な攻撃に会社が何ら対策を講じてくれなかったことに失望。19年1月、グーグルを去っている。

 「幹部が多数入れ替わった15年ごろからグーグルは次第に閉鎖的になり、社員の声に耳を傾けなくなった」。ジョーンズ氏はこう打ち明けた。

 ではなぜ今になって、社員と経営層との間のあつれきが表に出るようになったのか。それはグーグルがテックジャイアントに上り詰めたこととも関係している。