ガス業界におけるカーボンニュートラルの実現で実用化が期待される技術がメタネーションだ。電力業界に比べるとガス業界の取り組みはさほど注目されていないが、都市ガスからの二酸化炭素(CO2)排出量は全体の約1割を占める。水素よりも経済性が高いといわれるメタネーションの技術。どんな点が優れているのだろうか。

大阪ガスのメタネーションの実験に用いられているセル(左)と、メタン合成に使われる触媒(右)
大阪ガスのメタネーションの実験に用いられているセル(左)と、メタン合成に使われる触媒(右)

 縦8センチ、横15センチの黒いシート状のセルが入った箱に二酸化炭素(CO2)と水蒸気を入れると、水がCO2とともに電気分解されて、水素と一酸化炭素が作られる。ここで出た水素はさらに一酸化炭素と反応、都市ガスに必要なメタンに合成される――。

 大阪市此花区の大阪ガスのエネルギー技術研究所。同社が研究開発に取り組むのが、2050年のカーボンニュートラルへの貢献が期待される「メタネーション」と呼ばれる技術だ。メタンをつくる工程で使われたCO2は、工場や家庭でガスの燃焼時に排出される仕組みだ。大気中のCO2の量は増やさないため、「実質ゼロ」を実現できる。実用化する際には、セルを重ねて大規模な設備を造る。CO2排出量の多い化学工場や製鉄所との連携が有望だ。

メタネーションの仕組み(大阪ガスのホームページより)
メタネーションの仕組み(大阪ガスのホームページより)

約100年前にノーベル化学賞受賞者が発見

 メタネーションの技術は約100年前、ノーベル化学賞を受賞した仏化学者、ポール・サバティエ氏が発見したものだ。この技術を基にしたメタネーションは一部で実用化されているがエネルギー変換効率は55~60%にとどまっている。

 一方、大阪ガスが今年1月に発表したメタネーションの技術は、メタンを生成する過程で排出される熱を、前工程の電気分解に使用することで、変換効率を85~90%まで高められる可能性があるという。まだ基礎研究のレベルだが、同社担当者は「産官学で協力して30年ごろの技術確立を目指す」と意気込む。

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