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 「新品のスマートフォンが1円」――。

 楽天の携帯電話事業会社、楽天モバイルが往年の「0円ケータイ」をほうふつとさせるキャンペーンを5月27日に始めてから1週間ほど。申込数は非公表だが「好評で入荷待ちになっている」(同社)という。

 このキャンペーンでは、楽天モバイルの自社回線サービス「Rakuten UN-LIMIT」を新規契約すると、税別1万7000円のスマートフォン「Rakuten Mini」をわずか1円で購入できる。現在は出荷まで1カ月程度かかるとアナウンスしている。

小型のスマホを1円で購入できるキャンペーンを始めた

 4月に自社回線サービスを始めた楽天モバイルは、月2980円(税別)かかる月額料金を1年間無料にするとともに、ウェブ経由の申込者なら契約時にかかる手数料3000円(税別)をポイントで還元するキャンペーンを実施した。ところが、想定通りには契約者数が増えていないもようだ。

 通信料金が無料なのに契約に二の足を踏む人が多い理由の1つは、端末の問題だ。楽天モバイルの回線を使うには、「楽天モバイル対応」と検証された端末の購入が求められているからだ。

 NTTドコモとau、ソフトバンクの3大キャリアや、その回線を利用するMVNO(仮想移動体通信事業者)の場合、使っているスマホのSIMロックを解除すれば別の通信会社に乗り換えられる。しかし、楽天モバイルは自らが販売している端末の利用を推奨する。「音声通話などで端末メーカー側の調整が必要」(楽天モバイルの山田善久社長)だからだ。

 楽天モバイルも手をこまぬいていたわけではない。当初から、自社回線の契約と同時に対応端末を購入する場合、1万~1万5000円相当のポイントを還元するキャンペーンを行ってきた。さらに4月9日からは、楽天市場で対応端末を最大50%ポイント還元で販売するセールも断続的に実施している。例えば4月時点では、税込み9万9800円の「Galaxy S10」(韓国サムスン電子製)を買うと、40%分の3万9920ポイントが還元されていた。

 ただしこのセールは、楽天モバイルの自社回線サービスを契約しなくても端末だけ購入できるものだ。19年10月の電気通信事業法改正で、通信契約を条件とした場合の2万円以上の値引きができなくなった。上記のような4万円近い実質値引きは、この規制に抵触する。大幅値引きによる端末の普及を優先するか、それとも契約の獲得を優先するか。楽天モバイルは端末の普及を選択したわけだ。その結果、高額還元した端末が個人間取引サイトで転売される副作用も生じている。