LIXILグループのコーポレートガバナンス(企業統治)に関する問題で、6月下旬の定時株主総会に諮る会社側の次期取締役候補が6月5日、記者会見した。潮田洋一郎会長兼CEOの影響力をいかに排除するかを巡って、潮田氏が昨秋解任した前CEOの瀬戸欣哉氏側の取締役候補者と、株主へのアピール合戦を繰り広げている。

会見する会社側の次期取締役候補(写真:稲垣純也)

 会見に登壇したのは、内堀民雄氏(元ミネベアミツミ取締役専務執行役員)、河原春郎氏(元JVCケンウッド代表取締役会長兼社長兼執行役員CEO)、竹内洋(元関東財務局長)、福原賢一氏(ベネッセホールディングス代表取締役副会長)、松崎正年氏(コニカミノルタ取締役・取締役会議長)、三浦善司氏(元リコー代表取締役社長執行役員兼CEO)の社外取締役候補6人。会社側の独自候補はほかに、カート・キャンベル氏(元米国務省東アジア・太平洋担当国務次官補)と、社内取締役候補の大坪一彦氏(LIXILグループ執行役副社長、LIXIL代表取締役社長兼COO)がいる。

 株主総会で選任されれば取締役会議長となる予定の松崎氏は、「創業家の影響力は排除した監督を行っていく。これは全員のコミットメント」と改めて強調した。また、「次期CEOの選定までの期間は暫定CEOを置く。暫定CEOは現任の取締役は対象外として、会社提案の社外取締役候補から選定する方針」(松崎氏)と話した。株主総会までには候補者を明らかにする考え。瀬戸氏や指名委員会に意見書を提出した上級執行役らが、潮田氏の影響力が残るのではないかと懸念する山梨広一社長兼COO(最高執行責任者)が暫定CEOになる可能性を否定したことになる。

 グループを純粋持ち株会社とし、傘下の事業会社と明確に区別する方針も示した。潮田氏も同様の考えを持っているが、「候補者は潮田氏と会ったことはない」(福原氏)としたうえで、「瀬戸さんの時代に株主総会で定款変更されたが、実態は今も、純粋持ち株会社」(福原氏)との見方を示した。

 既に会社側は5月31日、投資家向けに同様の説明会を開催している。

 一方、対立する瀬戸氏側も同日午前、投資家向けに説明会を開いている。6月3日には、指名委員長のバーバラ・ジャッジ氏らに対し、会社側候補者について適格性についての質問状を送付。例えば、カート・キャンベル氏が創立パートナー会長兼CEOを務めるThe Asia Groupとの取り引き関係について、LIXILのコーポレート・ガバナンスガイドラインが定める社外取締役の独立性基準に反するのではないかといった疑問を呈している。

 こうした指摘に対し、会見に同席したLIXILグループ執行役専務法務担当の中村豊氏は、「指名委員会において独立性基準に照らして、全ての取締役候補者に対して適正に調査した上で、問題がないと確認している」と反論した。

 LIXILの定款では、取締役数の上限を16人と定めている。瀬戸氏は当初、瀬戸氏側と会社側の双方の候補者が株主に選任される可能性を見越して、「委任状争奪戦(プロキシ―ファイト)はしない」などと協調路線を打ち出していた。だが、5月30日に会社側が招集通知とともに公表した会社側社外取締役の「重要メッセージ」で、瀬戸氏側候補者を排除する姿勢を会社側が鮮明に示したため、対決姿勢を強めている。5月30日には、機関投資家のほか従業員持ち株会にアピールするウェブサイトも開設した。

 機関投資家が態度を表明するうえで重要となるのが、議決権行使助言会社の判断だ。米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)や米グラスルイスは近日中に判断をすると見られており、両陣営ともに今週が投資家へのアピールの山場となりそうだ。

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