米アイロボットの日本法人は6月4日、同社が展開するロボット掃除機「ルンバ」の3機種でサブスクリプション(定額課金)サービスを始めると発表した。同社はレンタルサービスを推進しようとしてきたが、貸出期間が2週間と短かかったこともあり普及はいまいち。サブスクリプションの開始で普及拡大へ再挑戦するが、日本市場独特の壁をいかに突破するかがカギとなる。

 「日本では今も家事は女性の仕事という考えが一部である。そうした中でロボット掃除機を使うと、家事をさぼっていると思われることを気にされる人もいます」

 アイロボットジャパンマーケティング本部の村田佳代コミュニケーションマネージャーは、日本ならではのこうした考え方が普及の壁のひとつになっていることを明かす。

 同社によると、ルンバの世帯普及率は米国が11%に対し、日本は5.1%(今年5月末時点)にとどまる。日本で普及が進まない理由として、村田氏は「日本では(世帯数に占める)共働き夫婦の比率が低いのに加え、家屋が小さい」こともあると分析する。

 サブスクリプションサービスの月額は、最上位機種の「ルンバⅰ7+」が3800円(税別)、上位機種の「ルンバ980」が2800円(同)、機能を最低限にとどめた「ルンバ641」が1200円(同)。契約期間は3年で期間中の修理は基本的に無償で受ける。満期まで使うと機器の所有権が利用者に移転する。8日の午前6時8分から専用サイトで受け付けを始める。

 日本市場でのルンバのサブスクリプションサービスの導入は、アイロボット社として世界で初めての試みとなる。普及の壁に悩む日本法人が突破口にしようと、自ら米国の本社に提案したという。同社の山田毅マーケティング本部長は「購入した客の7割が『その後も使い続けたい』との調査結果がある」とし、サブスクリプションでの利用から購入へとうまくつなげていきたい考えだ。

 アイロボットジャパンは、23年までに日本でのルンバの世帯普及率を10%まで引き上げる目標を掲げる。日本独特の市場でロボット掃除機を抵抗感なく前向きに受け入れる土壌を作ることも普及拡大には不可欠となりそうだ。

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