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 マツダは6月1日と2日、地域の住民などを招いて技術や製品を紹介するイベント「マツダオープンデー」を開いた。塗装方法やエンジン部品などマツダの自動車を支える技術やデザイン、生産部門の最新の取り組みを披露した。

 中でも目立ったのが、長年培ってきた技術の伝承だ。効率的な量産体制を構築するためには、熟練技術者のノウハウを若手や海外拠点へ伝えることが欠かせない。その成果が、今年5月に国内販売を始めた主力小型車「MAZDA(マツダ)3」でも発揮されている。

 マツダ3は「アクセラ」の後継車で、プラットフォームからエンジンまですべての主要機構を刷新した「第7世代商品群」の第1弾。2018年9月に日本で生産を開始し、19年1月にはメキシコで生産に乗り出した。わずか4カ月でグローバルでのクルマ作りを実現。今年5月にはタイでも生産が始まった。

 早期に世界での量産体制を構築できた理由の一つが、「匠の技」のデジタル化にある。マツダでは約20年の経験がある熟練の技術者は「匠」と呼ばれ、国内外の生産現場で後進の育成にあたっている。その手法をガラリと変えた。

 自動車の工場では見慣れない、ZOZOの全身採寸スーツのような黒い作業服。これこそがマツダが新たに導入した最新ツールだ。頭や関節などあちこちに取り付けられたマーカーの動きを映像で分析し、生産ラインで匠の筋肉や骨などがどう動いているかを数値化する。

 例えば金属を削る作業では、「匠は股関節から動いているが、新人は体がぶれているなど動きに違いがあることがわかった」(マツダ)という。こうした一つひとつの動きのブレが、作業時間や品質に関わってくる。匠の技のデジタル化が進んだことで、マツダ3では量産体制が軌道に乗るまでの期間が約1.5カ月短くなったという。

 マツダは今後、匠の動きをデジタルデータとして記録し、幅広い社員が自分の動きとどう違うのかを理解するための教材として整備する。これまで20年かかっていた匠の育成を、15年ほどに短縮したい考えだ。独自のデザインやエンジン技術に注目が集まるマツダ。生産現場も着実に進化しつつある。

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