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 ドラッグストア業界で大型再編の機運が高まっている。

 6月1日、業界6位のスギホールディングス(HD)が、同7位のココカラファインに経営統合を提案した。実現すれば、売上高9000億円規模、店舗数2500以上の巨大チェーンが誕生することになる。

 ココカラは5位のマツモトキヨシHDとも資本・業務提携を検討している。インバウンド需要などで拡大してきたドラッグストア業界は、同じ小売業のコンビニや総合スーパーに比べ、これまで大型再編が起きてこなかった。大手同士による経営統合の検討はその成長に陰りが見えてきたことを表しているのだろうか。

スギホールディングスとマツモトキヨシ、ココカラファインはどちらを選ぶのか(東京都港区の店舗)

 スギHDは、ココカラと7月末までに経営統合の基本合意書を締結することを目指している。一方、スギHDに先んじて資本・業務提携を提案したマツモトキヨシHDは3日、「ココカラファインとの協議のスタンスは変わらず、引き続き具体的な協業内容についての検討及び協議を進める」との声明を出した。9月末までに締結を目指す。

 ドラッグストアは市場規模が拡大している。インバウンド需要が堅調なほか、近年は食品や日用品などの品ぞろえを拡充し、コンビニやスーパーの顧客を奪ってきたからだ。

 日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の推計によると、2018年度のドラッグストアの市場規模は17年度比6.2%増の7兆2744億円。3年連続で5%以上の伸び率だ。店舗数も増加の一途。18年度の店舗数は17年度比で694増え、2万228店と、第1回の調査だった2000年度に比べると7割増えている。

 この間、大手は中小規模の薬局チェーンの買収を繰り返してきた。業界2位のツルハHDは07年に「くすりの福太郎」、15年にレデイ薬局などを買収。首位のウエルシアHDは18年に一本堂、今年3月に岡山県地盤の金光薬品などを相次ぎ買収している。このため全体の企業数は00年度の579から18年度には409と減っている。だが、業界全体が拡大していることもあり、大手同士の合併はほとんど起きてこなかった。

 ココカラファインの争奪戦は、この潮目が変わってきている象徴ともいえる。ドラッグストアはインバウンドのほか、医薬品の利益を原資に食品などを安売りし、集客するビジネスモデルで成長してきた。市場はなお拡大しているものの、店舗数が増えた結果、店舗間の競争は激化している。そのため利益率低下の兆しも見える。2018年度は大手10社のうち、3社が営業減益となったか、営業減益となる見込みだ。

 同じく出店競争が激化したコンビニ業界では、ファミリーマートとサークルKサンクスが統合するなど業界再編が進んだ。現在は3社で業界シェア9割を占める。ドラッグストア業界は最大手のウエルシアHDでさえ売上高は7790億円。売上高10位のクスリのアオキHD(2570億円・見込み)まで同程度の規模の企業がひしめき合っている。業界では「いずれドラッグでもコンビニと同じことが起こる」とささやかれてきた。その号砲は鳴った。

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