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(写真=共同通信)
    

 ドライバー不足が深刻になるなか、荷主と配送業者の力関係に変化の兆しが出始めている。全日本トラック協会と日本貨物運送協同組合連合会が5月中旬に発表した2019年4月の「WebKIT成約運賃指数」。この指数は、専用のシステム上で運びたい荷物とトラックがマッチングした際の運賃の合計を件数で割って、指数化したもの。17年4月時点の「115」から19年4月には「130」に上昇した。荷物を運ぶための値段が徐々に上がっていることになる。ヤマト運輸の値上げをきっかけに大手運輸会社の相次ぐ値上げが話題になった2017年から、成約運賃指数も右肩上がりが続いている。

 日本ロジスティクスシステム協会の「2018年度物流コスト調査報告書」によると、調査に回答した224社の荷主のうち95%が値上げ要請に応じるとし、その割合は16年の77%から18ポイント近く上昇した。「燃料の値上げもあるが、ドライバー不足が深刻化したことで多くの荷主が値上げを受け入れるようになっている」(全日本トラック協会)という。

 これまで荷主と配送業者の契約は「不平等条約」と言われてきた。1990年の規制緩和により、配送業者は約4万社から6万社以上へ増加。値下げ競争も激しく、仕事を得るには荷物の積み下ろしなど通常は契約に含まれない仕事も配送業者がしなければならなかった。

 だが、「運転手をしてももうからない」「仕事がしんどい」とトラックドライバーが集まりづらくなり、ドライバー不足が深刻化した。ヤマト運輸が一部の大口法人向けなどで値上げに動いたことが契機となり中小の配送業者も相次ぎ値上げを決め、「徐々に配送業者と荷主の契約形態は対等な関係へと改善しつつある」(国土交通省)という。国土交通省も不透明な配送料金を透明化しようと、標準料金の策定に動いているほか、悪質な配送業者が撤退するよう規制も強化している。

 トラックは日本全体の輸送量のうち9割を支える経済の生命線だ。配送業者と荷主が対等な関係になったあかつきには、単純に商品の値上げといった価格への転嫁だけではなく、トラックドライバーの職場改善、新しい物流システムの開発といったイノベーションの進化といった側面も求められることになりそうだ。

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