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(写真:ロイター/アフロ)

 安倍晋三首相は27日、令和初の国賓として来日したトランプ米大統領と会談した。トランプ氏から日本人拉致問題への全面的な協力を取り付けるなど夏の参院選に向け、外交力をアピールする格好の機会となった。一方、トランプ氏が日米貿易交渉について「8月に良い発表ができるだろう」と述べたことで、日本政府内には米国側の今後の対応への警戒感が広がっている。

 「参院選を前にトランプ氏との蜜月ぶりを国内外に発信する。本格的な貿易交渉は参院選後という言質も取りたい」。トランプ氏の来日前、安倍首相の周辺はこう狙いを語っていた。

 前者についてはほぼ想定通りの展開となった。ゴルフや大相撲観戦などを通じて両首脳と日米同盟関係の緊密さを存分に誇示。日本人拉致問題に関して、トランプ氏から前提条件を付けずに日朝首脳会談の実現を目指す方針への支持を得た。

米・イラン仲介が得点のチャンスに

 さらに、緊張が高まるイラン情勢を巡り、トランプ氏が安倍首相の仲介に期待を示していることを踏まえ、安倍首相がイラン訪問を検討していることを伝達、トランプ氏が理解を示した。これを受け、安倍首相は6月中旬にもイランを訪問し、ロウハニ大統領らと会談する方向で最終調整に入った。

 夏の参院選をにらみ、もともと安倍首相が外交成果として想定していたのはロシアとの平和条約交渉の進展だった。だが、北方領土問題でロシアとの溝は埋まらず、交渉は停滞したままだ。

 こうした中、トランプ氏の大きな関心事でもある北朝鮮とイラン問題への対応が急速に「外交ダマ」として浮上した。中東の緊張緩和などにつなげることができれば、6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議とともに安倍首相の外交力を国内外にアピールすることができ、直後の参院選にも有利に働くとの思惑が透ける。