「全職種のジョブディスクリプション(職務記述書)を2021年3月までに作成する」。日立製作所のCHRO(最高人事責任者)を務める中畑英信執行役専務は26日、いわゆる「ジョブ型」の人材管理への転換を加速する方針を示した。ジョブ型は、職務を明確にした上で最適な人材を採用・配置する手法で、欧米などで一般的だ。日本の多くの企業は職務を限定しないで人材を採用している。
日立製作所は26日、在宅勤務の活用を標準とする働き方に転換すると発表した。21年4月以降、在宅勤務ができる職種の社員が週に2~3日は在宅で勤務する状態をめざす。リモート会見した中畑CHROは「決して以前の状態には戻らない」と述べ、再びウイルスの感染拡大や自然災害などがあっても事業活動を維持できる、働き方の「ニューノーマル」(新常態)を構築する決意を示した。

新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発出後、日立製作所は「原則在宅勤務」に転換した。「(先行して緊急事態宣言が出た)7都府県では8割超、全国でも7割が在宅勤務をしてきた」(中畑CHRO)。工場での生産や、銀行システムやエレベーターといった社会インフラの維持などに携わる従業員以外は、基本的に在宅勤務ができているという。
緊急事態宣言は25日に全面解除されたが、20年7月末までは在宅勤務を継続する。その後は、ニューノーマルに向けた準備を進める。職務に応じた勤務形態の検討や在宅勤務のための環境整備、業務遂行方法の見直しなどに取り組み、21年4月から正式移行する。労使協定に関わる部分については労働組合との交渉も進める。
ジョブ型の人材管理に必要な職務定義書の作成は、「職能型」で雇用している国内の一般社員約3万人が対象だ。これまで明言していなかった終了時期を、21年3月までと定めた。
なぜ在宅勤務と並行してジョブ型への転換を急ぐのか。
在宅勤務の拡大で顕在化したのは、成果をどう計るかの問題だ。勤務時間に応じて給与を払う雇用形態では、在宅時の勤務状態をどう把握するかが課題になりやすい。「だからジョブディスクリプションと、(成果を計るための)パフォーマンス管理を広げていく必要がある」と中畑CHROは説明する。「ジョブ型に転換できれば、時間で成果を計るわけではないということを明確に示せる」(同)
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り629文字 / 全文1601文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?